へるぷみー

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「お、及川さん、?」



振り返とそこには、腕を組みながら微笑んでいる彼がいた。


ひやっと、背中に汗が伝った。


きっといまの私は顔面蒼白で、顔はひきつっているだろう。
飛雄を見ると、彼は鋭い眼光で及川さんを睨んでいた。


「……なんすか」


「名前ちゃんの姿が見えたから来たんだよね」


微笑みを崩さないままこちらへ歩み寄ってくる。
カラスの声がやけにうるさくきこえた。
耳鳴りがする。


及川さんは私の目の前で止まり、顔をずいっと近づけてきた。

鼻と鼻が触れ合う。



合った目は笑っていたけど、瞳の奥は笑ってなかった。
その証拠に、及川さんから紡がれる言葉は冷えていた。




「で、なんのお話かな?」



及川さんの息がかかる。
飛雄に助けを求めたいが、及川さんが私の視界いっぱいにあるために見れない。
いや、目を逸らせない。



あたりはもう暗くなっているだろう。
カラスの声はもう聞こえておらず、代わりにキリギリスの声が聞こえている。

それに、肌に触れる空気も冷たい。




「及川さん。今名前と話してるんですけど」



入り込んできた影山はさっさと名前を離せ、と言わんばかりに冷たく睨む。

ふっと微笑んだ及川は、名前の肩をグッと引き寄せて歩き出した。



「っ!?」


「じゃあね飛雄ちゃん、またいつか〜」


何か言おうとしている名前を視線で圧し、空いている片方の手で影山に手を振った。
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