東京花魁物語
□壱
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「………………ごめんなさい…」
ボロボロの扉を開けてマンションへ入る。
自分の部屋にバックをおいて母のところへ行くと、
第一声がそれだった。
「……………え、なに?ごめんって…」
何かしたのかな?と思い母に近寄ると…
シャラッ…
母の手にあるものは、大金だった。
「…………それ。どこにあったの?」
「っごめんなさいごめんなさい!!!!」
そういって母はアタシにすがりつく。
後ろを向けばーーーー
着物をきた人が…ふたり。
「母さん…アタシを…売ったんだね…」
膝がガクッと折れ、床にたおれこむ。
「あ………あははは…………」
…まさかさ。
母さんが…
金なんかとアタシを…
引き換えにするなんてさ…
「へぇ…お前、すっげぇ美人だな」
グイッと立たされ、顎を持ち上げられる。
「見るからに処女か。…そこのバァさん、金もう一回り追加してやる」
着物の男が懐から金を取り出して母に投げる。
「あぁ…ありがとうございます!!!!」
そうやって嬉しそうにする母は…
とても滑稽に見えた。
「おい、行くぞ」
グイッと腕を引かれ、無理矢理外へ出される。