東京花魁物語

□壱
1ページ/2ページ










「………………ごめんなさい…」













ボロボロの扉を開けてマンションへ入る。



自分の部屋にバックをおいて母のところへ行くと、
第一声がそれだった。



「……………え、なに?ごめんって…」





何かしたのかな?と思い母に近寄ると…









シャラッ…











母の手にあるものは、大金だった。




「…………それ。どこにあったの?」



「っごめんなさいごめんなさい!!!!」



そういって母はアタシにすがりつく。



後ろを向けばーーーー











着物をきた人が…ふたり。











「母さん…アタシを…売ったんだね…」



膝がガクッと折れ、床にたおれこむ。


「あ………あははは…………」



…まさかさ。







母さんが…






金なんかとアタシを…






引き換えにするなんてさ…











「へぇ…お前、すっげぇ美人だな」



グイッと立たされ、顎を持ち上げられる。



「見るからに処女か。…そこのバァさん、金もう一回り追加してやる」



着物の男が懐から金を取り出して母に投げる。






「あぁ…ありがとうございます!!!!」


そうやって嬉しそうにする母は…


とても滑稽に見えた。








「おい、行くぞ」



グイッと腕を引かれ、無理矢理外へ出される。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ