東京花魁物語
□伍
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征十郎からの返事は、来ない。
ーーーこれがあたしにとってかなり、苦痛になっていた。
もしかしたら、忘れたの?
それとも、見捨てたの?
いろんな考えが頭をめぐって、夜も寝付けなくなった。
身請けの日は、迫っているというのに。
ーーースパンッ!
自室で楽にしていると、突然扉が開いた。
「許さない!!!」
「なに、おば様…そんなに急いで」
「お前の身請けの日が、明日になった!!!!」
は?
「は?」
思わず立てようとしていたお茶を落とした。
「何言ってる…の?ま、まだ先のはず…」
「氷室さんが、早くお前が欲しいって仰ったんだ。だから、繰り上げになったんだよ!」