小説
□ハレルヤの消えた日《後編》
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窓の外では太陽の光に反射してGN粒子が輝いていた。
「ここら辺か、」
キュリオスは、民族紛争を繰り返すAEU南部上空にいた。
「キュリオス、介入行動に入る。」
ハンドルを握り直し、目をつむり、大きく深呼吸をした。
「‥‥‥大丈夫、ハレルヤがいなくても…僕は…」
瞳を開き目の前に広がる青空を見据える。
アレルヤの視界に、真っ青な世界が写る。
天空はこんなにいい色をしているのに、なぜ人々はむざむざ死にに行くのだろう。
少し視界を落とせばそこは真っ赤に染まった悲しみの渦。
あちらこちらで小さな光がやまなく、崩れてしまった町並みのなかで人々は路頭に迷う。