小説

□君が、 〜後編〜
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『お前、頭おかしいんじゃないの』


物陰から見つめる俺をオンナは笑った。


『あんなドジ、見てたってなんの面白味もないじゃないか』


ぱっつりと切り揃えた前髪の奥で、笑わない瞳が矛盾していた。


『本当に笑えないオマエよりかは見ていてたのしい』


むすっと頬を膨らませたオンナはその場から駆け出して、あの子の前に立った。


『あんた、つまらないのよ』


オンナはあの子の頬を勢いよく叩き、そのまま消えてしまった。


『‥‥‥‥ぁ!』


駆け出した右足が躊躇して、心臓の鼓動が高なった。

行けない…

この気持ちが、収まらなくなってしまう…


あの子は、頬を抑えて涙を堪えていた。
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