小説
□悲しみの欠片:SIDE-H2
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後悔は、
充分過ぎるほどしていた。
ぐらぐら揺れる頭の中で、
ただひとつ一切ぶれることなく残るのは、
お前の顔で。
倒れこんだベッドがやけに広すぎた。
「‥‥‥っ」
静まりかえる部屋も、
ぬるいままのタオルも、
ひかない熱も、
残る残像も、
何一つとして俺を一人きりにはさせなかった。
「‥‥‥‥‥‥‥」
こんな気持ちが溢れるのなら、
いっそ全てを捨てて一人きりにしてほしい。
うるんだ瞳も、
唇も、
細い髪も、
眼差しも、
なにもいらない…