小説
□悲しみの欠片:SIDE-H3
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言葉なんて、
伝えなければ伝わらない
そんなの、
知っていた…
「なんだよ‥これ」
投げ出した瞳を手で覆うアレルヤは、震えていた。
『みちゃだめ…』
赤く染まる首筋だけに目がいき、アレルヤの言葉なんて届かなかった。
赤く、灯々とともるその証が誰のものだか、察しはついていた。
「‥‥‥ティエリアか」
ワインが溢れたような髪が記憶を霞める。
『許して…ハレルヤ』
不適な笑み、
勝ち誇る笑み、
余裕な笑み、
全てが俺を怒りへといざなう。
途方もなく、暗い暗い怒り。
「ふざけんなよ」