1006 BOOK

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起きたら、見知らぬ天井が見えた
自分の安いアパートの天井でもないし
男の船の天井でもない
上半身を起こして周をみても
なにこの部屋、と思うほど広い部屋に、煌びやかな家具
そして、何人で寝るの?ってほどデカいべっト

何が起きたか、頭を整理して
記憶が途切れる前を思い出し、慌ててシーツの下を見れば


『よかった、くっついてる……』


なくなった足は、ちゃんと元通りになっていた
一気に訪れる安心感に、ため息を1つはいた



「起きたか!!ナギちゃん!!!」


デカい扉をバーンと派手に開けて、室内に入ってきた人物に
私の体は凍り付いた


『お、か……しち、ぶ……』


かい と続けようとしたけど、かすれてしまって声にならなかった
ガタガタ震える体は、逃げようとする意識さえなく
ただその場で、ガタガタ震えるだけ

世間の海賊に疎い私でも、王下七武海の存在は知っている
その中でも、裏組織や、人身売買、闇を支配する
ドンキホーテ・ドフラミンゴ
その男が、目の前に、いる


「んなビビるこたぁねぇだろ。ローのやつはなんも説明してねぇのか」


ニヤニヤ笑いながら、近づくピンクの大男
ベットの一番端に、距離を取って座り
こちらの様子をみているが、恐怖が消えるわけじゃない
相変わらずガタガタと震える体を、ぎゅうっと自分の腕で抱きしめる


「ナギいじめてんじゃねぇ、このクソミンゴ」


威圧感を放っていたピンクが、一瞬でいなくなって
そのかわり、あの男が視界に入る
肩をだきよせられ、震える手に男の手が重なる


「俺は挨拶をしようと思っただけだ」

「自分の柄の悪さを自覚しろ、二度とナギの視界に入るな」


王下七武海に、平然と悪態をつく男に今更ながら恐怖を覚える
絶対違う、この人は兄じゃない
優しかった兄が、七武海とかかわりを持つわけない


「こいつは、一応俺を引き取って面倒見てくれた奴だ。今もこいつに世話になってる」

「おう、これからはナギちゃんの保護者でもあるけどな」


ピンクがさっきよりも、遠いところから楽しそうに口を挟む
私の、面倒を見る、保護者?
それは何て、恐ろしい事なんだろう
今まで、静かに平和に暮らしてたのに
いきなり、兄と名乗る男が現れて、拉致られて
王下七武海が保護者なんて


「クソミンゴの話は聞かなくていい。俺がナギの面倒をみる、心配はいらない」


簡単に足をぶった切る事を、平然とする人に
お世話になるのも嫌すぎる
隙を見て、どうにか逃げ出せないか


『もう、家に帰して………』


自然と声にでた言葉
私の今の本心


「ダメだ、ここがお前の新しい家で、ここがお前の帰る場所だ」


優しい声に、優しく頭におとされる唇に
絶望しか感じない
夢なら、さっさと覚めてほし

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