BOOK 弱虫ペダ2

□59
1ページ/1ページ

「じゃあ確かにお届けしましたんで、失礼しまーす」


パタリと閉じるドアの内側
たった今納品されたもの、渡された納品書に書かれている差出人はママ
はぁ…これ、どうしろって……


「ビ、ビアンキじゃナァイ!!」

『マ、ママから…』

「ハァ!?この前来た時用意したってかァ!?安い買い物じゃねぇだろーガァ!」


慌てて荒北先輩にメールを送って
急いで部屋まで来てもらって
玄関に置いたままになってる、ロードバイクを見て
荒北先輩は手に持っていた荷物を落としそうなほど驚いた

自転車が1台ダメになってしまって、落ち込んではいたけれど
まさか、ロードバイクをママにもらうなんて


『ロード、た、高いですよね』

「安くはねぇよナァ…」

『こ、これ、私乗れるんですかね…』

「空気入れに、ヘルメット、ライト、交換用チューブ、グローブ、インナー……ぜーんぶ揃ってんじゃナァイ」


びっくりしてた先輩なのに、もう楽しそうにガサゴソと段ボールの中を漁ってる
ん!と渡されたのはインナーで、お尻のところが分厚くパッドが入ってる
それ履いて、その上からハ―パン履いて
これ、レッグカバーで上はパーカーとかでイイヨ
グローブ忘れんなよ


『先輩…まさか、今から乗る気満々だったり?」

「目の前に自分に合ったロードがあるなら、乗るしかないじゃナァイ」


いいから着替えてこい!
と部屋から放り出された
お尻にパットが当たって、もこもこ、むずむずする


「メット、ちゃんとかぶれよォ」

『はい、それでどこ行くんですか?』

「とりあえず、部室行くか」


楽しそうに空気をチェックする荒北先輩を見たら
怖いとか、そういうのがどっか行っちゃって
荒北先輩と“おそろい”の自転車
今まで、一緒に自転車に乗った事はなかったから
嬉しい


『わ、わ、手低い!ペダル軽い!!』

「前見やがれ!あぶねぇだろうガァ!!」



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ