BOOK 弱虫ペダ2

□75
1ページ/1ページ

東堂先輩が軽く山を登っていって
その後ろを福ちゃん先輩と荒北先輩が追いかけて
そんなに簡単に上れるもんだと思ったけど


『きっつ!!』

「だよなぁー、山が好きなんて本当に考えられないぜ」


平坦はまだ話が出来る余裕があったけど
坂道は無理!マジで無理!
太ももが痛い!


「ギア軽くして、ペダルをくるくる回すイメージ」

『(…くるくる回す)』


試しにペダルをくるくる回してみたけど
まず、回す筋力さえないから、全然回らないし
息上がっちゃうし…


「なーんかさ、俺疲れちゃったから、少し休んでもいいかな?」


カーブの所で端によって止まった新開先輩は
全然余裕そうだし、箱学のレギュラーが足を止めるなんてありえないのは分かる


『なんかすいません。先行ってていいですよ。後で追い付きますから』

「そんな風に無理して一人になろうとしなくていいんだぜ?これは練習でもないし、今日はサイクリングだろ?」

『でも、何か申し訳ないです』

「謝られると、俺が悪い事してるみたいに聞こえちまうなー」


新開先輩は、ハンドルに腕を組み
下から見上げるように笑った


『新開先輩、ありがとうございます』

「おう。じゃ、寿一たちを追いかけようか。あんま遅いとみんな迎えに来ちまうからな」


はい!
と元気に返事をして、またペダルに足を乗せる
めざす先に、その背中は見えないけれど
きっと、この山のてっぺんで、待ってるはず




「荒北いいのか、迎えにいかないで」

「いーんダヨォ!待ってりゃそのうち来んだかラァ!!」

「迎えに行きたくてうずうずしてるではないか」

「ウッセ!!バァカ!!カチューシャのくせにウッゼ!!」

「うざくはないな!!!」



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ