BOOK 弱虫ペダ2
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東堂先輩が軽く山を登っていって
その後ろを福ちゃん先輩と荒北先輩が追いかけて
そんなに簡単に上れるもんだと思ったけど
『きっつ!!』
「だよなぁー、山が好きなんて本当に考えられないぜ」
平坦はまだ話が出来る余裕があったけど
坂道は無理!マジで無理!
太ももが痛い!
「ギア軽くして、ペダルをくるくる回すイメージ」
『(…くるくる回す)』
試しにペダルをくるくる回してみたけど
まず、回す筋力さえないから、全然回らないし
息上がっちゃうし…
「なーんかさ、俺疲れちゃったから、少し休んでもいいかな?」
カーブの所で端によって止まった新開先輩は
全然余裕そうだし、箱学のレギュラーが足を止めるなんてありえないのは分かる
『なんかすいません。先行ってていいですよ。後で追い付きますから』
「そんな風に無理して一人になろうとしなくていいんだぜ?これは練習でもないし、今日はサイクリングだろ?」
『でも、何か申し訳ないです』
「謝られると、俺が悪い事してるみたいに聞こえちまうなー」
新開先輩は、ハンドルに腕を組み
下から見上げるように笑った
『新開先輩、ありがとうございます』
「おう。じゃ、寿一たちを追いかけようか。あんま遅いとみんな迎えに来ちまうからな」
はい!
と元気に返事をして、またペダルに足を乗せる
めざす先に、その背中は見えないけれど
きっと、この山のてっぺんで、待ってるはず
「荒北いいのか、迎えにいかないで」
「いーんダヨォ!待ってりゃそのうち来んだかラァ!!」
「迎えに行きたくてうずうずしてるではないか」
「ウッセ!!バァカ!!カチューシャのくせにウッゼ!!」
「うざくはないな!!!」
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