BOOK サッチあの子シリーズ

□あの子は奇麗
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パーティー当日
夜開催のパーティーだから
夕方からドレスを着て、髪の毛を飾り付ける
もちろん、しろひげの美容部員のお姉様達が
あれよこれよと、飾ってくれた


「口紅は赤じゃなくて、ピンク系で。ボディパウダーはラメ少なめのやつ。あ、ダメダメそのアイシャドウ俺嫌い」


お姉様に自分の好みを伝え
出来上がった私は、化粧も髪型もサッチさん好み
着てるドレスだって、サッチさんが2時間悩んで決めたもの


『あの、変じゃないですか??化粧濃くないですか?!これなら胸張ってパーティー行けますか!!』

「その緊張してどうしようもないって顔しなきゃ完璧」


はい、息吸って
はい、吐いて んで笑え!

そう言われるも、もう車で移動する時間で
運転するサッチさんの横に乗り込む


『い、行ってまいります!』

「いってきまーす」


見送りにでたマルコさんに、エース君に美容部員のお姉様に、受け付けのお姉様
その他の社員さんに見送られて、いざパーティー会場へ


「よし、まずは先方に挨拶行くか!」

『はい』


小さなバック以外の荷物を預け、会場に入れば
煌びやかな世界が広がっていて
若干、いや完全な場違いを実感
でも、サッチさんが堂々としてるから、私もつられて堂々として見えるよう心がける


「おや、来てくれたんだね。待ってたよ」

『この前のお婆ちゃん!?』

「こら凪ちゃん、会長さんに向かってお婆ちゃんって…」


サッチさんの言葉に、自分の立場を思い出して
改めて、白ひげの社員として挨拶を済ませる


『足の怪我は大丈夫だったんですか?』

「あぁ、助かったよ。重たい荷物持たせて、歩かせてしまってすまなかったね」

『いえ、私頑丈ですから。大丈夫です』

「気兼ねしないで、楽しんでいってちょうだい」

「ありがとうございます」


会長さんとお話しが終わって、とりあえず壁際へ
サッチさんにお婆ちゃんとの出会いを説明すれば


「町で困った婆さん助けたら、ここの会長さんだったと」

『そうそう、重たそうな荷物もって、転んじゃったって』

「んで、その荷物持ってあげて、30分以上おしゃべりしてたと」

『そうそう』


流石凪ちゃん、いい子
笑って褒めてくれて、自然と顔がゆるむ
ボーイから、ドリンクをもらって
二人でグラスを合わせて、口に含む
甘めのお酒を頼んだから、飲みやすくて美味しい


「俺、ちょっと知り合いに挨拶してくるから、ここにいろよ」

『はい。いってらっしゃい』

「ん、お酒飲みすぎないように」

『わかってますよーだ』


背中を向けて、中心の方へ歩いていったサッチさんを見送って
とりあえず、動く人を目で追いかける
あんまり顔を見たら失礼だから、それとなくだけど
知らない人だらけで、年上の方の多い会場
その中に、見知った人を見つけた


『(あれって、もしかして……)』


じーっと見つめていれば、その人と視線がぶつかる
人違いかな?そう思ったケど
まっすぐ私の方に歩いてくる姿を見て、確信をもった


『やっぱりペンギン君だった』

「凪、だよな?こんな場所で会うなんて驚いた」

『だよね。私も驚いたよ。ローさんは?』

「今会長に挨拶してる」


ボーイを呼んで、ペンギン君のドリンクを頼む
仕事がどうとか、相変わらずローさんが横暴だとか
身長が伸びないだとか
いろんな話をして
ふいにこっちに歩いてくる人に気付く


「凪ちゃんお疲れ、知り合い?」

『紹介します。ハート総合病院外科医のペンギン君』

「ペンギンです」

「ハート総合病院って、最近名前も実績もすげー病院だろ?」

「ありがとうございます」


そんなにすごいの?
あ、でも腕は確かにいいよね。なんたってペンギン君だし


『こちらが、私の先輩のサッチさん』

「白ひげで営業やってんだ。よろしくな」

「白ひげ!?そこの営業のサッチって言えば、凄腕の営業マンだな。こちらこそよろしく」


がしっと挨拶を交わして
サッチさんもドリンクをもらう
飯取りに行こうぜ と3人でぞろぞろ動き
私の分はサッチさんがきれいに盛り付けしてくれて
ペンギン君は好きなものをたくさん載せた


「おい、ペンギン」

『あ、ローさん』

「あ?何だこのちんちくりん。どっから潜り込んだ?」

『相変わらずだね。ローさん』


前と変わらずな態度と発言
きゃあきゃあ騒ぎ出す周りに、何だ?
と思ったケど
イケメン、長身が3人揃えば、流石に周りの女性たちもほっとかないか
そうい納得
逞しい系のサッチさんに
スラッとした、細身のローさん
さわやか好青年のペンギン君


「ペンギン帰るぞ」

「はいキャプテン。じゃあまたな凪」


不機嫌そうに周りの女性たちを見て
ローさんは足早に帰って行った
ペンギン君を連れて、昔と変わらず仲良しこよし


「今の外科医のトラファルガーだろ?知り合い?」

『家がご近所さんだったんです。だから小さい頃からイジメられて大変でした』

「へー、あ!二人に名刺私とけばよかった!!」


もったいねー と子供のようにはしゃぐサッチさん
くすくす笑ってみてれば、笑ったなーと拗ねた

料理を手に壁ではなく、庭の方に出て
ゆっくりと料理を口にする
すこし蒸し暑いせいか、誰も外には出ていなくて
二人きりという雰囲気に、少しだけ嬉しくなる


「言ってなかったけど、ドレスも、髪も全部、似合ってる」


奇麗だ
その声に一気に心臓が動きだす


『サッチさんも、いつものスーツも似合ってますけど、今日の格好もかっこいいです』

「ほれなおした?」

『はい』


笑ってそう伝えれば
私の目を片手でふさいだ
その手をやんわりどけようとしても
今はダメ、顔、赤いから
そう言うサッチさんが、すごく愛しく思えて
目を隠す手に、自分の手を重ねてそっと掌にキスを送る


「この子はっ、そーやって煽らない!」

『あ、耳まで真っ赤ですね。サッチさん』


やられた!みたいな顔でそっぽを向くサッチさん
すぐに二人で笑い合った



「(今日は手、洗わない。んでもって  ちゅ  間接キス///)」



End

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