その他

□勘違い大魔王
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「ん、フォー君」


泊まった宿屋のソファーでくつろいでいると突然、ナナが顔を近付けてきた。いきなりでビビったオレは後ずさってしまったけど、後ろはソファーの革。背もたれを横にして押し倒されるみたいな格好になった。


「な、なにすんだよ…」

「ちょ、動かないでよ馬鹿」


何がなんだか分からなくて、しどろもどろしていると顔の真横に白く細い腕がたてられた。


「目、瞑ってよ」

気付いたらオレの上に馬乗りになっていたナナ。ルドルフは外出にいったばかり。
他人がみたら明らかにオレが襲われているみたいじゃないか。ナナに力で負ける。そんなにヤワじゃない。ヤワじゃないけど…、油断してただけなんだ。



「瞑んないならいいや。」



ナナの手が頬に添えられた。ひんやりとしていて、(恐らく顔が赤くなっているオレには)心地よかった。
ぎゅう、と唇を内側に巻き込んだ。


ナナの細い指が、睫毛をなぞってくすぐったかった。




「はい、とれた。」








……は?








「ゴミついてた。フォー君睫毛長いからゴミつきやすいよね。」



手のひらをひらひらさせながらソファーに座り直したナナは何事もなかったかのようにテレビに目を向けた。



「っ、気安く触んなっ!!」


足を組んで余裕そうな顔して座っていたナナを突き飛ばした。
そのままオレは宿屋を飛び出した。







「(くっそ、期待させやがって…〜っ///)」

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