忍たま

□RKRN1
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「今日のお昼ご飯なにかな〜」
「しんべヱ、ついさっき朝ごはん食べたばかりじゃないか」
「ははは」

笑いながら話していると、ものすごい音が廊下から響いてくる。
それはクラスの全員が気づいたようで、皆雑談をやめ、廊下へと視線をうつした。
何の音だ?とよくよく耳をすませると、足音。
かなりの勢いで廊下を走っているらしい。

止まった。

と思ったら、乱太郎たちのいるは組の教室の戸がスパァンッと見事な音を立てて開けられた。
いきなりのことに驚くが、戸の向こうから現れた人物を見てほっと息を吐いた。
きり丸だ。

何をそんなに急いでいたのかわからないが、肩で息をしながら、乱れた呼吸を必死に整えている。
みんなは、きり丸に近づき、様子を伺った。

「きりちゃん、どうしたの?そんなに急いで」
「そうだよ、きり丸。まだ授業は始まんないから、大丈夫だよ?」

きり丸は乱太郎としんべヱの前にズビシッと手を出し、「ちょっと待って」とジェスチャーして、なんとか呼吸を落ち着けた。
そして顔を上げ、なにか面白いことを見つけたと言わんばかりにキラキラした目でニッと笑う。

「ニュースだよニュース!!」
「ニュース?」
「そう!新しい先生が来たんだ!」
「へぇ、そうなんだ。でも、なんできり丸はそんなに嬉しそうなの?」

夢前三治郎がそう尋ねると、きり丸は「ちっちっち」と、人差し指を立て左右に振った。
皆はまったく話の先が見えず、困惑するばかり。

「学園長の突然の思いつきで、今からその新任の先生を捕まえるための「隠れんぼ大会」をするんだよ。そして、見事一番に捕まえられた人がいたクラスにはなんと―――」

その先は、皆まで言わずともその場にいた全員が察した。
ご褒美がもらえるのだろう。だって、きり丸の目が大きな銭になって輝いていたから。
相変わらずだなぁと、乱太郎は苦笑いした。


「でもきり丸、クラス対抗なら、ぼくたち一年はものすごく不利だよ」

庄左衛門の冷静な見解に、その場にいたものは頷いた。
委員会や縦割りのチームならまだしも、クラス対抗となれば全学年が対象だ。
ということは、必然的に上級生たちと争わなければならない。
身体的にも、知識的にも、圧倒的不利だ。

だが、きり丸は笑顔を崩さない。


「それがそうでもないんだなー」
「きりちゃん、どういうこと?」

乱太郎が尋ねると、きり丸は一度廊下を確認し静かに戸を占めてから、は組の全員を自分の近くへと集めた。


「オレさ、さっきその先生を見たんだよ」
「えー!?」
「しーっ!静かにっ」
「ごめん」
「で、こっそり後をつけて、学園長や先生たちと、どこに隠れるのかを話してるの聞いちゃったんだ」


競技は隠れんぼなわけだから、その先生の特徴を知っていて尚且隠れ場所もいくつか聞いてきたきり丸がいるは組は断然有利ということになる。
相手が「忍者」だということを抜かせば、だが。

「それで?どんな先生だったの?」
「えっと……髪は黒で……」
「乱太郎、似顔絵描いてよ」
「それもそうだね」


佐武虎若から紙と筆を受け取り、乱太郎はきり丸の挙げる特徴をもとに、似顔絵を描いた。
そして、数分後。
出来上がった似顔絵を見たは組の面々は、口を揃えてこういったのだ。



『イケメンじゃん』












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