SHORT STORY

□帰ってきて。
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Sside


「な、雅紀?」

「ん−?」

「お土産何がいい??」

「へ?どっか行くの、翔ちゃん?」

「ソチ・・・え?知らなかった・・?」

「あ・・もうそんな時期か・・」

嬉しいことに、今年もオリンピックでの取材をさせてもらえることになった。少し長い期間だけど、あの仕事で得られる物の大きさは他の仕事とはひと味違う。

その大仕事に、緊張とか期待とかいろいろな感情をもって旅支度をするのがたまらなく楽しかったりする。

でも、その少し長い期間だけ恋人に会えないのは寂しさの素だ。

今日も俺の旅支度にお構いなしで、ニノからもらった(買わされた?)ゲームに熱中している雅紀。

もう少し関心を・・・。ね?

「だから、お土産何がいいかな・・って」

「ん〜?ロシアでしょ!?」

「うん」

「ん〜何がいいかな〜?でも、何があんのかも分かんないな・・」

「ははっそっか。だよな?」

「んふふっ何でも嬉しいよ?翔ちゃんが買ってきてくれるんだもん。しかも、お仕事で疲れてる翔ちゃんに買ってきてもらうのも、申し訳ないよ?」

こういう気遣いなとこもある彼。

「いいの。だって雅紀を一人にさせちゃうんだよ?お土産ぐらいは買わないと!」

「くふふ、なんだそりゃ!」

「ま・・なんかいいの買ってくるな?」

「うん。・・それに・・」

「ん?」

「お土産なんかより、翔ちゃんが無事に帰ってくることが、僕の欲しいものだな?」

「雅紀・・・」

俺の隣に座り込んだ雅紀が言った。

「翔ちゃん・・・絶対に帰ってきてね・・?」

「うん・・。」

また少し細くなった雅紀のカラダを抱きしめた。


END
 

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