短いお話

□眠れない
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屋敷内のほぼ全ての人が寝静まった夜。
私はなかなか寝付けず、縁側に寝転び夜空を眺めていた。



「綺麗……」



夜空には大きな月が輝きを放っていた。
その周りで、沢山の星も小さな自信の存在を主張するかのように輝きを放っている。



夜空をぼんやりと眺めていると、何者かが近づいてくる気配を感じた。
この気配は………






「こんな時間にどうしたの?扉間」
扉「お前こそ、こんな夜更けにこんな場所で何をしている」




私は相変わらず空を見つめたまま扉間に話しかけた。
予想どうり帰ってきた声は彼のものだった。


「ちょっと眠れなくてね」
扉「そうか」


返事をして、寝転がる私の横に腰を下ろす。
チラリと横目で扉間の顔を盗み見ると、彼も空を眺めていた。


「星、綺麗だよね」
扉「あぁ」



短い返事、そして終わる会話。
相変わらずこの人との会話は長く続かない。



「ところで扉間は何しにここへ?」
扉「特に意味は無い
まぁお前と同じようなものだ」
「扉間も寝付けない日とかあるんだね」


クスクスと笑いながら言うと、彼は少し眉間に皺を寄せた。


扉「どういう意味だ」
「だって、扉間っていつも苦労している気がするから
寝るときに一日の疲れのおかげですぐに寝れそうなイメージがあったの」
扉「そう言うお前もすぐに寝付けそうなイメージがあるがな」
「ホント?」
扉「あぁ」


私そんなに寝付きは良くないのに。そう言うと扉間はククッと喉で笑った。
そのあとはお互い会話もせずにずっと空を眺めていた。
途中、扉間は私と同じように仰向けになると目を閉じた。


「寝るの?」
扉「今なら寝れそうな気がする」
「なにそれ」


ザァ、と風が吹く。
夜の少し冷えた風が私たちの間をすり抜けていった。
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