B二次創作
□未来から過去へ、過去から10年後へ
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虹の代理戦争が終わり三年の月日が流れ、と綱吉は高校二年生になった。
希望していた並盛高校に合格し、平凡で、平凡でない平和な時を過ごしている。
いつものように学校から帰宅し、見慣れた階段を駆け上がり自室のドアを開けると、そこにはゲームや漫画やお菓子、脱ぎ散らかしている靴下、机の上はノートや教科書、参考書…
とにかく、散らかりに散らかりまくっている、普通の男子高校生の部屋に入る為、扉に手を掛けた。
刹那、嫌な予感が背中を走る。
「あっおかえり〜♪」
すぐにドアを閉め、綱吉は混乱する。
…なんか見覚えのある人がいたような。
はははそんな馬鹿な!!!!!
気のせいだ、いるはずがないだろう!!!
昨日凄く頑張って勉強もしたし、きっと疲れているんだ。
そうだ、そうに違いない。
早く自室に入って寛ごうではないか。
さあ入るぞ自分の部屋!!!!!!さあ、気合を入れて!!!!!
いや自室に入るのにどうしてこんなに気合が必要なのだろうか
「もー!突然ドア閉めたりなんかして、すっごく失礼じゃないキミ!!!」
「不法侵入ーーーーー!!!!」
そこには、未来で色々とやらかしすぎて、ボンゴレの監視下にある白蘭がにこやかに立っていた。
***
「やぁ綱吉クン、久しぶり♪ここじゃなんだし中に入りなよ♪」
「いや俺の部屋なんですけど」
一体、何用で来たんだと不審がっている綱吉のことを察したのか白蘭は綱吉に対して深いため息を吐いた。
「あのさぁ…」
「な、なんだよ…」
とてもわかりやすい怯え方をするもんだ。
白蘭は可笑しげに鼻で笑い、やれやれというジェスチャーをする。
そんな白蘭を見た綱吉はなんかすっごくやだ帰りたいと心の中で叫ぶ。
「ボクさ、客人じゃん」
「不法侵入じゃん」
「お茶くらい出さないの〜?キミ。ニホンジンのくせしてすっごく失礼。礼儀がなってないよ〜礼儀が」
はぁ全くこれだから最近の若造は…。
普通、ニホンジンは客人に来てくれてありがとうという意味を込めてなにかしらのおもてなしをしてくれると聞いたのだが。スパナから。
「あ、お茶出すときにお菓子とかつけて出すよね。だってニホンってそういう国でしょ?じゃあボクはマシマロがいいなぁ♪」
「そういえばニホンって考えれば考えるほど奥が深い国だよね〜ま、どうでもいいんだけど。」
「あ、そういえば綱吉クンのお母さんいなかったから勝手に入っちゃった。ゴメンネ〜?でも、ボクだしいいよね♪」
「…なにぼーっと突っ立ってんのさ」
「わかったよ、ちょっと待ってて」
これ以上は無駄だ。
綱吉は悟った。悟ってしまった。
厄介事は御免である。
今日は家に誰もいなくて、平穏に過ごせる最後の日。
いつもは騒がしいこの家も、今日までは静かなのだ。
早く寛ぎたいし、さっさとおもてなしでもしてやってとっとと追い返してやろう。
そう考えた。
***
「うん、3点」
「そうですかそうですか」
「で、一体どんな御用なんですか」
「なんで敬語なの?気持ち悪い」
「おもてなしですので。ニホンジンの」
「あぁ、なるほど」
「最近変な夢見るんだよね」
「はぁ」
「だからさ」
「助けてくんない?」
「は?」
「いや、だから、助けて欲しいんだ。それで来たの。」
「はあ…?」
「本当に困っているんだよね、ボク」
安眠も出来やしない。
そう言って笑う白蘭。
いや、どうしろと。
率直に、どうしろと。
助ける?自分が?
…この、超強い人間を?
だって、こいつは未来でボンゴレを破滅の危機にまで追いやった男なんだぞ?
そんなヤツが、例え今の世界だとしても、変な夢如きで助けてだなんて言ってくるか?
一体、ヤツの考えはなんなんだ?
素直に受け取ればいいとでも?
…今更?素直に?
馬鹿馬鹿しい。
でも、さっき感じた嫌な予感の事も気になる。
いやそれは白蘭がいるということを感じ取っただけなんじゃないだろうか。
わからない。自分は一体、何を信じればいい。
ああ、リボーン。
どこにいるんだ。
いや知ってるけど。
「ねえ綱吉クン聞いてるの?」
嫌な予感、白蘭、変な夢、助ける、どうやって、リボーン、いない
「なんだ夢か」
「現実だよ馬鹿なのキミ」
「えー」
「わかった、とりあえずお前の変な夢について聞くよ、なに」
「やっと聞いてくれる気になったんだ」
「うん、まあ、そんなに真面目な顔されたらなあ…」
「変な夢ってのは、10年後…いや、7年後の別世界、パラレルワールドに関するものなんだけど」
そこで聞いた白蘭の"変な夢"という話は、にわかには信じ難いものであった。
***
「それただの予知夢みたいなもんじゃん」
「だよね」
「だってお前、未来予知みたいなことできるじゃん」
「そうなんだよね」
「ユニには話したの?」
話せるワケがあるはずがないじゃないか。
どうしてこの男は理解してくれないのだろうか。
自分は未来を予知する力を持っている。
ユニ程ではないが、通常の人間よりは力はある。
きっとこれは、予知夢なのだ。
だから、夢には出てきていない人物。
沢田綱吉にしか、助けを求めることができない。
それは白蘭にとってとても悔しく、屈辱的なことであった。
だがどうしようもない。時間もない。
予知夢通りだと、あと数ヶ月もすれば、その最悪な未来は訪れる。
…もう、誰も生き残れない。
そんな、とても恐ろしい未来が。
「で、ボクなりに考えてみたんだけど…もう手段が浮かばないんだよね!!!!あー!!!こまったなあ!!!!!」
「そうか」
「そうなんだよね!!!!!もう!!!!どうしてボクがこんなこと考えなきゃいけないのかな!!!!!!綱吉クンはどう思う!!!!!!」
「俺がその根源をなくせばどうにかなるかも、なーんてなそんな簡単な話じゃないし」
「よく分かったね!準備は整えてあるんだ!!!」
「狙ってたな!?最初から!!!!!!!お前!!!!!!」
「だってもう綱吉クンしかいないよ!!!!」
「リボーンじゃだめなの!?ピンピンしてるよ!?」
「だってどこにいるかわかんないんだもんあの赤ん坊!!!」
「そんなの俺が教えてやるよ!!!!」
「…ダメなんだ。全部全部、ダメなんだ。ボクの考えはあっさりと見破られてしまう」
「過去に戻って、ソイツと会ったんだ。笑ってたよ。ボクでも引いてしまう程に」
「その瞬間、脳に何かを書き込まれてしまった」
「取られちゃって、全部」
「そこから、記憶ないんだけど、まあなんとか命からがら戻ってきたっていうか」
「なんか、大変だったんだな…」
キミには負けるよと笑いながら喋る白蘭の姿は綱吉にはどこか儚く思えてしまった。
「じゃあ明日の朝7時に並盛神社来てね」
「早くない!?しかもなんで並盛神社!?」
「詳しいことはちゃんと明日話すから」
「まだあるの!?」
「あるよ」
ガックリと項垂れてしまった綱吉だった。
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