B二次創作
□短編
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【並盛喰種】
皆で獄寺の家に突撃しよう!大作戦!を決行するべくその場所にはクローム髑髏と山本武が集まっていた。
もう一人来るはずなんだが、どうやら遅れているようだ。
山本が一番最初に集合場所に来ていた。
次に来たクロームは山本に挨拶した。
「ボス、来てない?」
「寝坊だと思うぜー?」
「…なるほど」
暫くして山本が急激に体調を悪くし始めた。
一度様子を見ることにしたクロームは気づかないふりをしながら山本を見ていた。
5分くらい経っても山本の体調がよくなるようには見えなかったのでクロームは尋ねた。
「山本君、さっきから体調悪いみたいだけど?」
「は、はっ…だ、だいじょ、うぶ…っ」
「そう?…何かあったら言ってね?」
山本が気がかりだが本人が大丈夫、といったので仕方なく身を引いたクロームだった。
そんなクロームを見ながら山本は焦っていた。
…やっべ…ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!
これ本当にヤバイ!!…どうやって抜け出そう…つーか、この体本当に不便…
「クローム、わりっ!やっぱた、いちょうヤ、バイから家、帰るわっ…ツナ、にも言っといてくれ!」
「う、うん…送ろうか??」
「いん、や!…大丈夫!…じゃ、なっ!」
クロームから少し距離を置いて山本は帰る、と言った。
クロームは心配そうな顔をして山本が去っていくのを見ていた。
***
「た、す、けて、、、く、れ…」
もはや立ち上がれる様子もなく、山本はあんていくという喫茶店の中に入っていた。
それを見た女性店員が嫌な顔をして山本に言った。
「アンタ…また自分を食べそうになるまで何も食べない気?」
「…き、りし、ま」
「トーカちゃん!その人大丈夫なの!?…あ、人じゃなくて、えっと…」
「カネキ…あ、そうだ。ちょっと私抜けるから」
「うん!分かった…気をつけて」
「マスターにも言っといて」
「ま、待て…オ、レは…」
「今回だけは持たなかったみたいだな、行くぞ野球バカ」
トーカと呼ばれた女性店員は山本の襟を掴み、カネキという男性店員に一言言って引きずっていった。
「やだ…やだ!やめろやめろ!やめっ――」
それでも嫌がる山本にカチンと来たトーカは山本を気絶させ、背中におぶって歩いて行った。
***
山本武という人間は人間ではなかった。
今まで色んな死闘を仲間と一緒にくぐり抜けてきた山本は、人間を食べてしか生きていけない喰種と呼ばれる生き物だった。
山本が過去死にかけたのは人間を食べそうになったから、だからわざとカマをかけた。
今ではその人間とは野球つながりで仲良くなっている。
山本武は誰にも言わずに一人で隠してきた。
親友の沢田綱吉にも、獄寺隼人にも
誰にもバレないように必死で人間として隠していた。
さっきクロームと一緒にいたときに危なくなった。
山本は必死でクローム…人間の匂いを嗅がないように鼻を押さえ、背中からかぐね、と呼ばれる喰種にしかないものを出して急いで飛んでいった。
行き先は、あんていく
あんていくには人間を食べれない、人間を殺すことのできない喰種が食料をもらえる場所だった。
山本も小さい頃からそこでお世話になっており、この15年間、それでなんとか誤魔化してきていた。
山本の父親山本剛も、喰種だ。
人間と仲良くなっていく息子を見て心を痛めていた。
自分が人間の肉を狩りに行って、息子には人間のものだとわからないように、そうしてきた。
そして、一度お試しで人間の食べ物を食べさせてみたところ、最初はリバースしていたが普通に美味しく食べられるようになった。
それから山本武は人間の食べ物を食べれるようになった。
人間を食べないと生きていけないことを剛は息子に教えた。
息子は泣きながら理解した。
それから山本武は人間と一定の距離を保っていた。
大好きな野球をしながら、いつ自分が喰種になるのかとヒヤヒヤしながら。
骨を折って、山本武は絶望した。
じゃあ、死のうと考えた。
このままだと自分は恐ろしいことをしでかす、そうなる前に自分がいなかったことにしよう、と
死ぬつもりはサラサラなかった。
ただ、人間の自分を死んだことにして、これからは喰種として生きていこうと決めたのだ。
そんな考えは、今の親友沢田綱吉に阻止された。
山本武は感銘を受けた。
自分が死にかけてまでコイツは自分を助けてくれたのかと。
沢田綱吉に山本武は相談していた。
沢田綱吉はダメダメのダメツナということで有名だった。
山本はそういう人間にはなりたくないと思っていた。
ただ好きで野球をやっていただけなのに、いつの間にかヒーロー扱いされ、そのヒーローに自分はならないといけないと勝手に思い込んでいた。
その考えをぶっ壊したのが死ぬ気で自分を助けてくれた沢田綱吉。
山本武は沢田綱吉と友達になりたいと思った。
なら、自分が喰種だとバレないように生きなければならない。
今は色んな友達が増えて、仲良くしている反面、いつここから自分は消えるのだろうかと考えながら
今まで、そうやって生きてきた。
***
「起きろ」
喰種しか知らない裏路地でトーカは山本を投げて起こす。トーカは痛がっている山本を放置して人間の死体を持ってきた。
「ほら、食え」
「…やだね」
山本は拒否した。
自分が今どういう状況かコイツは分かっているのだろうか、と考えながら
「お前さ、いい加減にしないと自分が大事にしてるっていう友達食べちゃうと思うんだけど」
「…やだ」
「やだって…ほら、ソイツは死体だ。しかも自殺した人間…私達が食べてなにがいけないの?食べないと私達は生きていけないでしょ?じゃあ食べろよ…じゃないと…着いてきてる人間食べちゃうよ?」
それを聞いた山本はすぐに死体を持った。
涙を流しながら、すいませんと言いながら、山本はその死体の指を引きちぎって食べようとした。
自分がやってるのは親友と同じ人間を食べようとしてるのに、それなのに
「…っ…いた、だき…ます」
指を引きちぎると喰種にはたまらない人間のこおばしい香りがしてくる。
山本は我を失い、死体を食べ始めた。
山本の目からは涙が溢れ出てくる。だが、今自分が何をしているのか、よくわからない。
ただ、目の前にある美味しそうな料理を食べてる感覚
指を全部食べて、山本は我に戻った。
「…ま、た…オレっ…」
「ヤマモトは自分が生きるために食べたそれは人間が食べてる牛や豚や鳥と同じ、ただその生き物は喋るってだけ」
トーカは震えている山本を見ながら言った。
「だからさ……食べれば楽になるよ?…じゃあ、あたしは先に戻ってるから」
「ち…っき、しょうっ!!!!!」
泣きながら山本は死体の腕を食べ始めた。
「山本…?」
その時だ、山本は自分がおかしくなるのを感じた。
「な、んで…」
アレ、美味そうだな。
コレなんかより、断然に。
生きてる獲物が、こんなに美味しそうに見えるなんて、ああ、早く食べたい。
「ツナじゃねーか。どうしたんだ?」
獲物を警戒させるな
「あ、うん…クロームが具合悪そうだったって言ってた、から…」
「あははっ、そんなの別に大丈夫なのに、心配させて悪かったな!」
警戒させるな
「山本、その、口元、は…?」
「あー、俺気づいたらここにいてさ〜!まさか人間の死体があるなんてな!」
「山本!!!!!」
もう少し
「あ、ツナさっきから気になってんだけど…」
「ねえ、山本、おかしいよ!なんで、」
「なんで人なんか、食べてんだよ!!!!!!」
「…うるせーな、食い物が喋ってんじゃねーよ。」
「食い、物…?」
「イタダキマス」
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