B二次創作

□短編
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【復活×亜人】

知っている。叶わない恋なのだと知っている。
知っている。敵わない相手なのだと分かっている。
知っている。分かっている。本当は心のどこかで気付いている。

彼は、自分に見向きもしないのだと。
だって。

「ツナさんは京子ちゃんが好き。京子ちゃんもツナさんのことが好き…」

ぶつぶつと、まるで呪文でも唱えているかのようにハルは自室で考え事をしていた。

それは、ちょうど学校が終わり、部活も休みということで久しぶりに綱吉に会えるとそりゃもうスキップをしながらハルは片思い中の相手の家、沢田綱吉の家に向かっていた頃。
鼻歌を歌いながらスキップをして向かっていた頃、ハルは見てしまった。

その光景は、片思い中のハルからすると、酷い物であった。
大事な友達の一人の笹川京子と、沢田綱吉が見つめあっていた。

二人の様子はというと、くすぐったいような、恥ずかしいような、そんな雰囲気であった。

見て、しまった。

まだ中学生の、まだ世間をあまり知らない、そんなお年頃な女の子が、見てしまった。

『あっ、ごめんなさい…』

『えっいいいいやあのっ!!!その……』

……あ。

察した。
綱吉が何かを言おうとしていることに。
きっとそれが、アレであることに。
もう、見ていられなかった。
瞳からは涙がポロポロと流れていた。
もしも、あの時に見つかっていれば、きっと複雑な事になっていただろう。
ハルは綱吉のことは勿論、京子のことも大好きであった。

その関係をハルは壊したくなかった。
二人に見つからないように、駆け足で走って逃げた。

***

「今頃ツナさんはニヤニヤしてるんでしょうね…」

「どうしてハルを見てくれないんですか……」

これ以上は、もう考えてはいけない事、口に出してはいけない事をやってしまうと思ったハルは毛布に体を包んで、心で叫んでいる思いを閉じ込め、意識を手放した。

翌日の朝、そりゃもうハルの顔はとんでもないことになっていた。
目は真っ赤に晴れ上がり、目元には隈、髪の毛はボサボサ……とにかく、とんでもないことになっていた。

「……!!」

朝食を食べ、歯磨きをしていた時、突然背中が寒くなるのを感じた。
風邪だろうか、気分は最悪だが、体調はいつもと同じである。

少し、奇妙に感じた。

「三浦ちゃんってさぁ、好きな人いるって言ってたじゃん」

「あぁ、確かに〜ww言ってた言ってたww」

「で、今どうなの!?」

「まぁはるって超モテてるしねぇ!!」

「なにそれ気になる気になる!!」

昼休み、ハルはぼーっとしながら2年の付き合いになる友人とお食事タイムをしていた。
そんな時、まあ女子の恒例、唐突に恋愛トークをするタイムが始まるわけだ。
今回の標的はハルだった。

「別に…普通ですけど…」

「ええー!なにそれ教えないってのー?」

「うわぁリア充超引くわーww」

「三浦ちゃんめぇーこのこのぉー」

「ほらほら!はきなさい!!!はくのよ!!!」

「段々三浦ちゃんは話したくなーる、話したくなーる…」

昨日の今日だ。
付き合ってられないとばかりにハルは弁当を片付け出した。

「はるノリ悪いよー」

「そうだよケチぃー」

「いいじゃんかー」

「リア充のくせにーww」

「三浦ちゃんほら、いい子だから話しなさいってー」

「…………………さい」

「えぇ〜なんてぇ〜?ww」

「……いい加減にして下さい」

「えーつまんなーい」

「いい加減にして下さいッ!!!!!!もうハル行きますッ!!!!!!!放っといて下さいッ!!!!!!」

「えっwwwなにキレてんのwwwww」

「はる…?」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ友人達を無視してハルはその場を離れた。

「すいません、今日は休むって部長に伝えといてください」

「三浦ちゃん?昼の事まだ気にしてるの?」

「……帰ります、今日歯医者なので」

部活は休んだ。
このままだと部活仲間に当たりそうだったのと、新体操は下手すると命のリスクも伴ってくるからだ。

***

家には塾で遅くなると伝えたハルは行く宛もなく手持ちの金で電車に乗り、ふらふらと散歩をしていた。

誰にも会いたくなかった。

こんな惨めな自分をハルは知り合いに見てもらいたくなかった。

「なにやってるんですかねハルは。」

以前、こんな時間に中学生がウロチョロしていると危ないと父から言われていた。

「今日は帰ったら怒られるんでしょうか、私。」

そんな事をいいながらもハルはまだ帰れる気になれなかった。
暫く歩いている時に、黒猫を見つけた。

「お姉さんがいいものをあげますよ〜」

そう言いながら鞄から食べかけの弁当を取り出す。
昼、完食できないまま残していた。
もう食べる気もしないので野良猫に譲ることにしたのだ。

「ニャー」

「綺麗な毛の色ですね…黒いから、クロちゃんですかね」

足元で甘えている黒猫、クロの頭を撫でながらハルはため息をついた。
この黒猫は、こうやって自分で生きているというのに、自分は一体なんなのだと。

告白もしていない、したような気もするけど、はっきりとはしていない。

「ケジメ、つけますかね…」

少し気分が楽になるのを感じてハルはクロに別れを告げ、来た道を戻っていった。

***

家路に着いている時、今朝、突然背筋が寒くなるのを感じたようにまた同じことを感じた。
ひょっとしたら本当に自分は風邪をこじらせ始めているのかもしれない、これは薬局に寄って薬を購入した方がいいのかもしれないと考え、薬局に入り一番安いカプセル錠の薬を手に取り購入し、店から出て家路に着いていた。

「やあっと見つけた!」

「はひ?ハルですか??」

「そうそう、ハルちゃん、探したんだよ。」

「はぁ…えっと、どちら様でしょう。」

「そうだね、ちょっとファミレスにでも寄ろうか」

「えっ?」

「大事な用事なんだ。………あっでも時間大丈夫かな?」

「少しだけなら大丈夫なんですけど……あの、ここでは駄目なんですか?」

「あぁ、ちょっと長くなるんだよ。ほら、この時期は少し肌寒いでしょ?だからファミレスがいいかなぁって。」

ファミレスなら、大丈夫かもしれない。
見た所この老人は息切れをしているようだし、本当に自分を探していたように思えだ。
怪しいような様子もないし、ハルは少しだけならとオーケーしたのだった。

*END*
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