B二次創作

□短編
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【ボツ】

この感覚、何度目だろうか。
というか、久しぶりだなぁ。

白蘭を殺す、か。

いやいやいやいやいやいやいや、ないないないないないないないない。

何か他の方法があるはずなんだ。
白蘭の話を100%信じている訳ではないが、あの白蘭が言っていた話の通りだと、過去の白蘭は限界が近いんじゃないだろうか。

ということは、もうすでに未来の白蘭が過去の白蘭を操っており、自分にとって何か不都合なことがあるから本当の方法を伝えなかったのではないか。
いやでも、既に操られていたとしたなら、自分は確実に罠に嵌められてしまっていることになるし…

「もう!!!!!!めんどくさい!!!!!!!!」

考えている間にワープが完了したようだ。
綱吉は現状を把握すべく、周囲を見渡してみた。

「アジトのトレーニングルームって所か」

とにかく今がどういう状況かを探る為、綱吉はリボーンがいるだろう場所に向かうことにした。

「あ、いた」

さて、どうしたものか、一応ここはパラレルワールドという事もあるし、自分と全く同じ過去を進んでいるとは考えにくい。
そういえば、このアジトにはなんとかセンサーとやらがあったような。
基地にはもう辿り着いたのか、協力者の入江正一にネタバラシをされている頃なのか、白蘭に全てばれてしまいチョイスを申し込まれた頃なのか、一旦過去に戻った頃なのか。

いや、それはない。
何故なら目の前にリボーンがいる。

ということは、修行をしている頃か、メローネ基地襲撃に向かっているあたりではないのだろうか。
とりあえず中の様子を伺うことにしよう。

気配を消し、自分は壁…自分は壁…
よし、これならいける!

「さっきからそこにいるお前、出てこい」

気配を隠すことには慣れていたはずだ。
どうしてバレてしまった。
リングか、リングなのか。
マモンチェーンはつけていない。
しまった、リングか。

「おい、聞こえてねえのか、もう一度言う、姿を現せ」

やばい、すごく怒っている気がする。
まあそれはそうだ、敵にアジトがバレたと思っているだろうから、さてどうしたものか。
姿を現し、やり過ごせるのか。
そもそも、何故自分が見つかったのか…

あ、監視カメラに映ってるのか。
なんだーそっかーはははー、じゃあ…!!!!!!

ここに飛ばされたその時を、見られてしまっているのでは…!?
ならば、過去の綱吉がここに居たということになる。

じゃあ、今は修行をしている時か、メローネ基地に殴り込んだ後か、殴り終わって正一と手を組んでいる頃か、どっちかということになる。

まあ、もう見られてしまっている可能性があるのなら、ここはもう出ちゃった方がいい。
そう考えた綱吉は姿を現すことにした。

「おいお前、見かけねえ顔だな、どこから入ってきた」

「え、えっと…ま、迷い込みまして…」

「嘘だな」

「いや、その…」

「お前、ツナだな」

「バレた!?」

「ああ、バレバレだ」

流石リボーン、綱吉の変装を見破った。
綱吉は正体がバレてしまうことなど一切考えずとりあえず白蘭にあわねばと考えていた為、こうなってしまったらどうするか、それを考えていなかった。
とりあえず、沢田綱吉というのが他の人にバレるのは避けたい。

「その…他の人には内緒にしておいて欲しいんですが…その、俺はちょっとお願いをされて、ここにいる訳でして…」

「いいぞ」

「ダメですよね…そうですよね…えっ!!!いいの!!?」

「ああ、いいぞ」

「じゃ、俺の事は見てない事にしてね!じゃ!!!」

とにかく早く白蘭の元に向かわねば、取り返しがつかなくなってしまう。
急いでその場から立ち去ろうとした時、カチャッと、これまたすごく聞き覚えのある音がした。
そして、威圧感を感じる。
ああ、自分は隠し通すことができるんだろうか…。

「おい、どこに行く」

「えっと…外?」

「何をするつもりだ」

「えっと、白蘭を探そうかなぁって」

「何故白蘭のことを知っている?パラレルワールドだとしても、この結果が生まれるのはここだけだと入江は言っていたぞ」

「正一君が!?」

「お前、目的はなんだ」

「いや、あの、だから…」

「はっきり言いやがれ、返答によってはただじゃおかねえぞ」

「白蘭を止めて、過去に戻る、それだけだよ」

「止める、か…倒す、じゃなく」

「あっ、いやっ、倒す、倒すんだよ!!!」

「お前、まるでこの世界がどうなるか知ってる素振りだな」

流石にそこはバレてしまったか、正一君とか口走っちゃったもんなぁ…
うう、俺のダメツナめ…。

とりあえず知らないって言っておこう。
知ってるとか言ってしまうとヤバイ気がする。

なにか、なにかが。

「しっ、しりません…」

「ほう…?」

銃口を完全に綱吉に定めたリボーンの黒い目は、綱吉の一挙一動を見逃さなかった。
というよりも、目の前にいるのは確かに沢田綱吉で、敵意がないことは明らかである。

そして、なにより自分は読心術の持ち主だ。
だがこの男にはそれが通用しない。
目の前の沢田綱吉は読心術を防ぐ方法を知っているようだ。

この男に敵意はない、自分にも敵意はない。
ならば、いつものように脅してみれば案外どうにかなるんじゃないか?

「…知ってます」

ほら、白状した。
結局は自分の生徒なのだ。

「だろうな」

「嘘ついてごめんなさい」

「ああ、わかったならいいんだ」

「そもそもリボーンには心が読まれてしまうから俺に隠し事なんて無理だということをすっかりと忘れていましたごめんなさい」

いや、心が読めないから鎌を掛けたのだが。
都合の良い解釈をしてくれる。
反省している様子の綱吉、もうこれは完全に自分が知っていることを全て話し始めるな、と察し銃を下ろした。

「あの、聞いて驚かないで欲しいんですが」

「ああ」

「えっと、実は俺、ここであった出来事、ほぼ全部、知ってます。たぶん。」

「ほう」

「さっきリボーンが入江、と口に出していたことから、俺はメローネ基地の殴り込みが終わったあたりかなと推理しているのですが果たしてそれは正解なのでしょうか」

「ああ、そうだ。間違いない。」

綱吉はチョイス戦で白蘭達に勝つ為に修行をしている頃なのかと確信をした。
だが、まだそれが確定しているわけではない。
リボーンに心を読み取られてしまっているのは抗えない事実だが、ここは慎重に言葉を選ぶことにしよう。

「その、恐れ入りますが」

「なんだ」

「チョイス、終わりましたか?」

「始まったばかりだぞ」

今、この人は何を言った????
始まったばかり、確かにそう言った。
んな馬鹿な。自分が飛ばされた場所はトレーニングルームだった。
確かにそうだった。どんなに寝ぼけていたとしても、その事は間違えるはずもない。
いや、待て。
もしも、これはあくまで仮定の話として考えてみよう。

もしも、沢田綱吉が二人存在できる、そんな世界に来てしまったとしたら…?
自分はトレーニングルームに飛ばされ、もう一人の自分がチョイスのあの会場にいるまま、ということが可能になるのではないか?

だが自分の時はリボーンも含め、アジトにいる全員で乗り込んだはず。

ならば、一体、どうしろと言うのだ?

白蘭に質問はないかと尋ねられた時、自分がどの時間に飛ばされるのかとか、未来に飛ばれている過去の自分がどうなるのかとか、もっと詳しく聞いておけばよかった。

「その、凄く変な事を聞いてもいいですか」

「なんだ」

「沢田綱吉って、もしかしてチョイス戦なうでしたか」

「そうだぞ」

…確定だ。
なにがどうなっているのかは分からないが、仮定として考えた話が、合っていた。
ということは白蘭あともう少しで暴走してこのアジトぶっ壊しに来るじゃないか。
このままここに居た方がいいのだろうか…?
いや待て、ちょっと待て、チョイス中ならどうしてリボーンはここにいる。
さっきも思ったが、どうしてここにリボーンがいる。

やはり体調が物凄く悪いのか…?

「どうしてここにいる、という表情をしてやがんな」

「えっ」

「白蘭がな、守護者だけで来るように言ってきたんだ」

「…白蘭が?」

「言われた通りにお前を含めた7名はチョイスの場所に向かった」

「じゃあ、今は…?」

「報告待ちだ、そんな時にお前がモニター上で現れたからな、ビックリしたぞ」

やはり見られていた…。
リボーンにはまだ勝てそうにないな。

だが、そこまで見ていたのなら、どうしてこんなにまわりくどい質問をしてきた?
まさか、リボーンは既に白蘭に操られてしまっているのか!?
そうだとしたのならば、喋りすぎてしまったことになる。

そんな綱吉の慌てっぷりを静かに見守るリボーンは、彼なりに混乱していた。
数々の試練を乗り越えて来ただろう事は、綱吉が自分の様子を伺っている時に把握した。

突然、トレーニングルームのモニターに映り込んだ謎の男。
綱吉達は白蘭を倒す為にアジトにはいないので自分が始末をつけなければならない。

モニター越しではあったが、只者じゃない雰囲気を感じた。

もしも白蘭が自分が思っていた以上に厄介な人物だったとしたなら、綱吉達だけを向かわせたのは失敗だったのではないか。

自分は今、呪いの放射能により、弱っている。
通常の自分なら、この程度の男、倒せるのに。

トラップを仕掛ける為に監視を行うことにした。
そして、監視をしている中、リボーンは違和感を感じる。

その怪しい人物は、まるでこのアジトに来た事があるかのように、一切迷わずに自分のいるこの部屋に向かって来ているように見えた。
というか、完全に知っているクチだ。

情報が漏れてしまったのだろうか。

ならば自分がどうなっても構わない、コイツを捕え、洗いざらい吐いてもらわねば。
そう決意し、ここでそいつを待った。

そして、ヤツは気配もなく現れた。
暗殺でもしに来たのか…?

モニターに写っていなかったら、自分はどうなっていたのだろう。
世界一のヒットマンである自分が、この謎の男には勝てないかもしれない…
なんという屈辱だ。この体のせいで、自分はここにいる人間達を守ることもできないのか

モニターには、綱吉達の帰りを待つ京子やハル、ビアンキやイーピン、その他の姿が映っていた。
あんなに元気に送り出したのに、凄く不安なのだろう。

綱吉達が負けるはずはない、ないが、自分が今負けてしまいそうだ。

どうする…。

数分経過し、リボーンは謎の男に敵意がないことを悟る。

というよりも、この動きっぷり、どこかで見覚えが有るような…?
鎌を掛けることに決めた。

するとどうだ、あっさり引っかかった。
まるで自分の生徒のような騙されっぷりだなと思いながら、相手の姿をまじまじと見てみると。

ビックリするほど、そっくりだった。
誰って、綱吉に。
髪型や髪の色、身長や雰囲気は違うが、何故だかもう綱吉にしか見えなかった。

まさか、こいつは沢田綱吉なのではないか。
だが、そんな馬鹿なことがあるハズもない。

そして、もう一つ鎌を掛けた。
お前は綱吉かと、そんな馬鹿らしい質問をした。

これまたびっくりするほどに引っかかってくれた。

間違いない、こいつは自分の知っている沢田綱吉だ。

何があったのかは知らないが、立派になってやがる。
彼の動揺を察するに、自分への信頼はMAXだろうということもすぐに察しがついた。

…と、いうか。

「お前、なんだかんだ知っているっつーワケじゃねえのか」

「そんなの知ってるわけがないだろ…?俺はただの人間なんだから」

「そうか」

「って、こんな事話してる場合じゃない!!!!」

「どうした」

「沢田綱吉が二人いるかもしれない事件は置いといて、大変なんだ!リボーン!!!あの時、あの時白蘭に見せられた真6弔花が!!!!!!ここを襲いに来るんだよ!!!!」

「それは大変だな」

「ああ、早く他の皆を安全なところに連れて行かないと…!!!!」

「ところでツナ」

「なんだよ!」

「真6弔花って、なんだ」

「は…?」

「真6弔花なんて、俺は知らないぞ」

「えっ、だって、チョイスで真6弔花と、白蘭と…」

「チョイスの申し込みは確かにあった」

「だが、それは白蘭個人からの申し込みで、真6弔花なんてのは見せられちゃいねえ」

「それ、本当なの…?」

『10年後…いや、7年後の別世界、パラレルワールドに関するものなんだけど』

『ボクの考えはあっさりと見破られてしまう』

『過去に戻って、ソイツと会ったんだ。笑ってたよ。ボクでも引いてしまう程に』

『その瞬間、脳に何かを書き込まれてしまった』

『まあなんとか命からがら戻ってきたっていうか』

『強いて言えば、未来での、チョイス戦の場所かな♪』

『生温い考えは捨ててもらっていいかな、ボクは本当に時間がないんだ』

『過去に会ったボクより、本気で狂ってるからね?わかってるの?』

「まさか…」

白蘭という敵は、自分が思っている以上に厄介なのではないだろうか。


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