B二次創作

□十代目、動く
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「はぁ…最近何もかもがめんどくさい」

「同じく」

「だりーよな…」

はぁ…とため息をつきながら沢田綱吉、獄寺隼人、山本武は屋上に寝転がっていた。

大の字になって空を見ながらあの空にラピュタありそうだよね、などと色々話している。

「ラピュタってUMAですよね…俺探してるんですけど見つからなくて…っ」

「…まずUMA探す時点で違うんじゃね?」

「お前にはわからないだろうよ…どれだけUMAが俺に夢と希望を与えているか」

「獄寺君ってUMAに夢と希望抱いてたのか」

あー、眠いなーそうだねーと、やる気のない会話、そしてそのまま三人は寝た。

少し寝ていた綱吉は体を起こしうーんと言いながら背伸びをした。

………。

なんてことだ、ここどこだ。
深い森の中にいた。
いや、なんで

確かさっきまでふたりと一緒に屋上でサボっていたはず。
なんで森にいるんだ、もしかしてまた並盛山なのか、そう思いながら周りを見渡す。

似ているようで似ていない、え、じゃあここどこだ
あれ?そういえば二人どこ行った?
そう思ってまた周りをキョロキョロと見る綱吉
なんと自分の隣でぐっすりと寝ていられた。

「起きて!!とりあえず起きて!!獄寺君起きて!!!!!」

必死に獄寺の肩を揺らしながら綱吉は獄寺を起こした。

「…あれ?10代目???…………ここ、どこすか」

「それが分からないんだよね…」

「また未来にでも来たんですかね?」

「いや、並盛山にこんな大きい木とかなかったよ…かるく10メートルあるよこの木」

寝ぼけている頭を起こしながら獄寺は木を見た。

確かに、デカイ、なんだこれ、でかい。

「10代目」

「なに獄寺君ここがどこか分かったの??」

「俺の経験上……間違いないです。UMAがいます」

「…うん、そっか」

嬉しそうな獄寺を見ながら綱吉はこの人に言ったのが間違いだった。と思っていた。

そんな時、全身裸の巨人がこちらの方に走ってくるではないか、その巨人は口から大量の唾を垂れ流していた。

それを見た瞬間綱吉は獄寺を引っ張った。

「どうしたんすか?」

「獄寺君、UMAもいいと思うけど今は命のほうが大事だと思うんだ俺」

「…えー」

「えーじゃない!立って!!ほらもうすぐ近くにってぎゃぁあああああああああああああ!!!なにこれ今食べようとしたよね俺たちのこと!!!!!!」

「10代目を食べようとするなんざ…UMAでも許せねえ!!!!」

"グッジョブ巨人!!"そう思った綱吉だった。

「こっちに来るなぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」

「10代目!!そんなに大きい声出すとっ!!!」

綱吉と獄寺は今ひたすらに走っている。

後ろからはドシンドシンと大きい巨人が走ってくる。

その巨人が口から涎を垂れ流しながら、さっきまで巨人は一匹だったはずなのに今十匹くらいの巨人に追われている。

綱吉がギャアギャアギャアギャア言って森の中を駆け巡っているからだ。

そりゃあ巨人も何事か、と思って見るだろう。

そしてそれが人間だと分かった瞬間、獲物だ、と思ってものすごく早く走ってくるのだ、それに負けじと綱吉と獄寺は走っているのだ。

綱吉は逃げ足が速い。
スタコラサッサといつも恐怖の対象、雲雀、リボーン、白蘭、復讐者…などから逃げている。
その中にはナッポーこと六道骸も。

ああ、こういう時の俺って本当にすごいよな、とどこかで現実逃避をしながら走る。

「獄寺君無事!?」

「無事ですっ!…っと危ねっ!!!!!」

「とりあえず今俺が分かったこと言うから一回で聞いて!!」

「はい!!…だからなんで俺ばっか狙ってきやがるこのUMA!!!!!!」

「まず巨人は森に登れないそれと飛べないだから空飛んで一番高い木に登る行くよ!!!!」

「分かりました!!!」

綱吉が獄寺に大きい声で分かったことを伝え、生き残る方法を言った。

獄寺は言われた通り空を飛ぶ。
綱吉は既に空高くに避難していた。

「10代目!」

「…無事だな」

「でも、一体何事なんでしょうか?未来に遠ばされたのより質悪いですよ」

「…だな……見た所あの木が一番高いな…とりあえず非難するぞ獄寺」

「了解です!」

綱吉と獄寺は飛びながら壁の方に向かった。
高い木に向かっている途中、とんでもな巨人の数に気絶しそうになった。

何匹、何百匹、何千匹いるかわからない。

とにかく数が多い。

「もう嫌だ家に帰りたい」

綱吉は高い木に避難してすぐに通常に戻り、体育座りをして愚痴り始めた。

家に帰りたい、ゲームしたい、寝たい、ダラダラしたい…等、ブツブツブツブツお経のように唱えている。

そんな綱吉に最初は声を掛けていたがすぐに諦めて獄寺は今の状況を考え始めた。

巨人の数が圧倒的すぎる、それと少し見えてる大きな壁…アレが鍵になりそうだな。
それと10代目のネガティブオーラもなんとかしねぇと…それに何かおかしい気がする…
今はUMAどうこう言ってる場合じゃねぇな。

「10代目」

「ダラダラしたいニートでもいいからダラダラしたい…」

「…じゅうだ、」

「ゲームしたいまだクリアしてないじゃん死ぬよ俺嫌だよ俺まだ生きていたいよ俺というか大体なんでこんな目にあわなきゃいけないんだよ今すぐ京子ちゃんに癒されたい会いたい京子ちゃんに会いたい」

何回声を掛けても綱吉は現実逃避を続けるばかり

仕方なく獄寺は綱吉の頭を少しだけ叩いて正気に戻すことにした。

前の自分ではできなかっただろうが今なら出来る。
10代目の前でぶっちゃけダメな所を知ってるつーこと暴露したんだ。
大丈夫だろこれくらい。

そう思い至って獄寺は右手と左手に力を込めた。
渾身の一撃だ。綱吉がこれぐらいの痛さで気絶するはずがない、多分痛がるだけだ。
そして獄寺は綱吉の頭に両手でチョップした。

ゴツッと獄寺がつけていたアクセサリーが綱吉の頭にクリーンヒットし元に戻った。


「…今のって…獄寺君?」

「いいですか10代目、今ネガティブになられたら困ります。笹川に会いたいなら今、現実と向かい合わないと俺たち完全にお陀仏になりますよ。ほら見てください少しずつ巨人達が木を登ってきてるんです」

「…ごめん獄寺君、そうだね、現実逃避はいけないよね、うん。」

「これからどうするかっつー所なんですけど、とりあえずあそこに壁が見えるの分かりますか?」

獄寺は壁の方に指を指して言った。
それを見た綱吉は驚いた顔をする。

「全然気付かなかった…そっか、もしかしたら!」

「もしかしたらじゃなくて、多分おそらくですが、巨人はあそこには入れないんだと思います。」

「そっか!!そうと決まったら早速!!」

「10代目、野球バカ…山本が見当たらないのおかしいって思いませんか?」

「…あれ?そういえば」

周りをキョロキョロと見渡して綱吉は山本を探した。
いない、どこにも見当たらない。

「山本ーーーー!!!!!」

「山本ぉおおおおおお!!!」

「やーまーもーとーーーー!!!」

「山本武ーーーーーーー!!!」

「山本さーーーん!!!!!!」

何度山本の名を呼んでも返事がない。
山だから山彦みたいに響いているのに返事がない。じゃあ、どこにいる?

「アイツなら多分巨人とでも打ち解けられますよ」

獄寺がそう言って綱吉は想像してみた。

はははっと笑いながら巨人と仲良くしている山本が安易に想像できた。

綱吉は乾いた笑いをこぼした。

「確かに…あの山本だもんね」

「大丈夫っすよ!」

「よしっ、じゃあ壁の方に行こっか!」

「はいっ!」

死ぬ気丸を飲み込んで額から炎を出し、二人は壁の方へと飛んでいった。

「…想像を遥かに越してくれたな」

「10代目…これは…」

二人は壁まで飛んできた。
そして絶句、絶句…言葉にならない。

壁の中にも巨人がいるではないか、なんだこの数は、と二人は思った。

そんな二人に気づいた巨人たちはニィッと笑って走ってきた。

中には忍者のように建物の屋根を飛んできてる巨人もいる。

「獄寺…これは一体どうすればいい?」

困った綱吉はとりあえず獄寺に聞いてみることにした。
UMA好きな彼だ。なんとかしてくれる…はず。

「10代目、」

「なんだ?」

「逃げるしかないっすね」

「だよな」

そして二人は走り出した、幸い二人は壁の上を走っている。
壁の上はなんというか、道があった。
とりあえずひたすら走る。
それを追いかけてくる巨人達。
どうして追いかけてくるんだよっ!と悪態をつきながらも獄寺は走った。

とにかく走った、全力で走った。

「10代目!」

「なんだ!?」

「もしかしたら俺達異世界に来たんじゃないんですか!?」

「異世界!?ありえるな…」

「つーかあのバカどこいんだっつの…」

「案外本当に巨人と仲良くしてたり…って、斬ってるだと!?」

綱吉と獄寺の目先には軍服を着ている山本の姿が、その山本は巨人の首を斬っている真っ最中だった。

いつもにこやかに笑うあの山本が巨人の首を笑いながら斬っていたのだ。

二人はほっぺを抓ったりしてこれが夢なのではないだろうか、と確認する。

…うん、すっごく痛い。

じゃああそこにいる山本は本物なのか?そう思ってとりあえず近くに行くことにした。

「ったくよー、俺を狙うのがバチだって言ってんじゃねーか、なんでいっつも俺ばっかりなんだ?というか俺憲兵団なんだけどなー?」

なんか怖い言葉を笑顔で放っていた。

「…獄寺君、あれって本当にあの山本?」

「あ、多分そうなんじゃ…?」

「いやだけど俺知らないもん、あんな山本俺知らないもん」

「いや俺も知りません…っつーか、アレが山本だったらなんで憲兵団とか言ってるんですか?」

「さ、さぁ…?」

「なーに話してんだ?お前らぁ」

「や、山本!」

「おう野球バカ生きてやがったか」

「…お、おう!元気だぜ?」


綱吉と獄寺が二人でヒソヒソ話をしているとき山本にバレた。
ニッコリと笑っている山本に少し焦ってここがどこかを問い詰める。


「山本!!ここどこ!?」

「そうだぞ!なんだよあの巨人は!?」

「とりあえず二人共ー、落ち着くのなー」

「「落ち着いていられるかぁあああ!!!!」」

「お?息ピッタリな」

「だって俺達さっきまで食べられそうになってたからね!?」

「へー、巨人に食べられそうになってたのか?」

「ああ、ものすごく気味悪かったぜ」

「それでさ、」

「アンタ等、どこから来たワケ?」

「「は?」」

いつの間にか山本は綱吉と獄寺の額に銃を向けていた。
その顔は相変わらずの笑顔、ニッコリと笑っていた。

「え、やま…山本?」

「んー、なんか勘違いしてるんじゃねーの?」

「何やってやがる離せ山本」

「だーかーら、俺、ヤマモトとか言う名前じゃねーんだけど?」

「「は?」」

その時、時間が止まったように二人は口をあんぐりと開けていた。
その顔に少し笑ったあと、山本…青年は言った。

「お前ら、どこから来た?何故空から現れた?答えろガキ共」

「えっと…」

「てめっ―」

――パァンッ

躊躇なく少年は銃を撃った。
ツナの髪の毛をすり抜けた銃弾はポロッと落ちた。

「次、抵抗したらお前らの頭に撃つぜ?」

ニヤリ、と笑って少年は言った。
それは俗に言う"殺気"というものだった。

目の前に、銃

その青年はにこやかに笑っていた。

「おい答えろってー、俺だって暇じゃねーんだよ兄ちゃん達ー?」

にこやかに銃を向け、にこやかに脅している青年。

自分達の知っている山本武はこんな人間ではない、では青年が言っていることは本当なのだ。

どうすればいい、こんな状況で、どうすればいい?

「おい聞いてんのー?なあお前らー?」

「…」

無言を貫き通す二人に青年はカチンと来て銃を二発お見舞いしてやった。

その銃は片腕を掠め、青年がかなりのやり手だと分かる。

「10代目、どうしますか?」

「……話そう、獄寺君」

「おっ?話してくれる気になったか?つーかさっきは悪いな、銃撃っちまって」

へらへらと笑う姿は山本に似ているのに、と二人は思う。
本人がいたら同じくへらへらと笑って失礼だぞ、とたしなめる程度だろう。

「よし、じゃあ話す気になったなら俺に着いてきてもらえるか?」

逃がすつもりはないけど、とウインクをしながら青年は二人に言った。
一体今日はなんなのだ、と思いながら二人は頷く。
だってその青年は銃をしまったのはいいものの、どこからともなく剣を取り出したからだ。

二本の剣を二人に構え、ハッキリ言って脅しているからだ。
コイツ、やるな。といつもは思う獄寺も、今は状況にあまり追いつけていない。

「分かりました」

「おしっ、そっちの兄ちゃんは?」

「…逃がす気もねーくせに」

「ははっ、バレてるのな」

「チッ…」

「よし、じゃあ二人共、片手両手出してくんね?」

戸惑いながらも青年に言われた通りに二人は両手を出した。
その青年は満足そうに笑って、お利口さんなのなーと言い放ち、手錠を二人につけ、逃げられないように縄をつけた。

「よーっしオッケ…な!」

「は、はぁ…」

「(コイツ、何者なんだ)」

またにこやかに笑った青年は二人を連れて歩き出したのだった。
獄寺は綱吉に一言だけを伝え、黙って青年の後ろをついていく。

「あの、」

「んー?どうした?」

「えっと、その…」

「よし、場所変更するか!」

「え?」


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