小説

□バレンタインデー
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「出来た♪今回も結構自信作です♪」
今日は2月14日。
恋する乙女にとって一年に一度の大切なイろベント…
氷麗は今日の為に色々準備していた。
今年は何時もとは違うトリュフと言うものを作っていた。
最近流行っていたから挑戦してみたとういことだ。
初めて作った割には上手く出来たので氷麗も上機嫌だった。
「うーん…でも何時リクオ様に渡そうかしら…。やっぱり学校が良いかな…」
チョコを作り終えた氷麗は今度はどのタイミングでチョコを渡すか考え始めた。
別に屋敷で渡しても構わないがやっぱり普通の女の子みたいに学校で渡したいとも思う…。
しかし学校だと今度は他の問題がある。
リクオはチョコを貰いすぎるのだ。
普段から良い奴として過ごしているため義理として貰う事も多い。
強いて言うなら最近のリクオは夜の雰囲気も醸し出すため女子生徒の人気も上がってきている…
チョコを貰いすぎてる状態で自分も渡したら迷惑かと心配になる。
だから未だに渡すタイミングが分からないままでいると言うことだ。
そんな事を考えているとリクオが台所まで迎えに来てしまった。
氷麗は慌ててチョコをカバンに隠す。
「どうしたの?」
「いえ、何でもありません。リクオ様こそどうなされたのですか?」
「いや、氷麗が遅いから何かあったのかと思って様子見に来たんだよ」
そう言いながら氷麗に近付いていく。
時間を見るとそろそろ出掛ける時間だった。
「はっ!申し訳ありません。もう準備は出来ているので行きましょ♪」
そう言うと氷麗は玄関まで急いでリクオも少し笑いながら後に続いた。

走ったお陰で何とか間に合った二人はそのまま教室に入ると席に着いた。
そのまま特に何も無く日常を過ごし帰りのホームルームも終わり各々帰宅の準備を始める。
ここからバレンタインのチョコ渡しが始まる。
放課後になり女子も男子も落ち着きが無くなる。
男子は貰えるかと言う期待…女子は渡せるかと言う不安…それぞれの気持ちが交じりながら今日のイベントが始まる。
教室に残ってる男子に義理として配って回る女子もいれば廊下の隅に呼び出してチョコを渡している女子もいた。
リクオはどちらかと言うと教室で受け取っていた。
「奴良くん何時もありがとう♪これお礼だから受け取って?」
そう言うと数人の女子たちがリクオにチョコを渡す。
「そんなの良いのに…でもありがとう」
丁寧に返事をするとチョコを受けとる。
そんな事を暫く繰り返していると幼馴染みのカナがやって来た。
「リクオくん…今年も沢山貰ってるね。」
そう言うとリクオの机の上を見渡す…
既にリクオの机はチョコでいっぱいだった。
「アハハ…何時もの事だから最近慣れて来たよ」
そう言いながら頭をいじる。
「こんなにいっぱいある状態で悪いけど私からもこれ…バレンタインのチョコ」
カナは手に持っていた箱をリクオに手渡す。
「ありがとうカナちゃん」
リクオはカナからチョコを受けとる。
「じゃあ私これから用事あるから先帰るね♪」
そう言うとカナ小走りで廊下を出ていった。
「うーん…今年も沢山あるな…」
自分の机を見ながらそう呟く。
すると教室のドアが開きそこから氷麗がひょっこり顔を出した。
「リクオ様?良いですか?」
氷麗の存在に気付くと「良いよ」と答える。
「今年も沢山貰いましたね…」
氷麗もリクオの机を見ながらそう言った。
「ハハハ…」
リクオは苦笑いしながらその状態を眺める…
「あの…」
そう言うと氷麗もカバンから綺麗にラッピングされた箱を取りだしながらモジモジし始めた。
「私からもリクオ様に…」
そう言いリクオの方に箱を差し出す。
「氷麗もくれるの?」
そう言いながらも氷麗からチョコを受け取りながら聞いてみる。
「はい。だって私は何時もお世話になってますし…それから…」
そこまで言うと氷麗は言葉に詰まってしまった。
リクオはその先が知りたくて氷麗を急かせる。
「それから?」
すると氷麗は顔を真っ赤にしながら小さな声で…
『私がリクオ様を好きだからです』
と答えた。
リクオはそれを聞くと嬉しくなり氷麗を抱き締めた。
「ひゃっ!?り、リクオ様!?」
いきなり抱き締められて軽くパニックになりながらも自分もリクオの背中に腕を回す。
「それは氷麗からの本命って事で良いのかな?」
リクオは確認するように氷麗に聞き返した。
氷麗はまた顔を赤くして「はい」と答える。
「そっか…ありがとう♪氷麗、大好きだよ♪」
そのまま氷麗を強く抱き締める。
「私も大好きです!リクオ様」
氷麗もそれに答えると抱き締め返す。
「そろそろ帰ろうか?」
「そうですね。あまり遅くなるとみんな心配しますから。でも…」
そう言いながらリクオの机を見渡す。
「このチョコどうするんですか?」
大量に積まれたチョコを見ながら疑問に思った事を話した。
「うーん…屋敷のみんなにあげるよ」
「でも良いんですか?」
折角貰ったのに…と言う氷麗にリクオは
「氷麗から貰えれば後は要らないよ♪」
っと耳元で囁く。
氷麗は今度は身体中を真っ赤にしながら口をパクパクさせていた。
リクオはそんな氷麗を見ると
「可愛い♪」
っと軽いをキスした。
氷麗はそこでようやく口を動かし
「ど、どうしてそんなに意地悪何ですか!!」
と抗議したがリクオはそれを笑いながら過ごし氷麗は先に行ってしまうリクオの後を小走りで追うのだった…

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