小説

□七夕
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七夕
今日は七夕。
奴良組の妖怪は七夕だからと言って何時もの用に酒を呑みながら盛り上がっている。何かとお祭りが好きな彼らは何かあればすぐに飲み会になる。
盛り上がる彼らの声を聞きながらリクオは縁側で氷麗といる。
「皆よく騒ぐね。まぁ楽しいのは良いんだけどさ」
毎度の用に盛り上がる彼らに呆れつつ穏やかな目をして氷麗に話し掛ける。
「皆お祭り事は大好きですからね」
氷麗もそう言いながらクスクスと笑う。
今はまだ昼時…それにも関わらず大騒ぎしている彼らを横目にリクオが氷麗に提案する。
「ねぇ氷麗。今から暇?」
「今からですか?そうですね、これと言ってやる事無いですし暇です」
氷麗の返事に満足したリクオは立ち上がると
「じゃあ今から出掛けよう。デートしない?」
と氷麗に告げる。
「ふぇ!?デート!?今からですか?」
顔真っ赤にしながら氷麗は聞き返す。
「そう、今から。氷麗はデートしたくない? 」
と少し寂しそうに言ってみれば
「いえ、そんな事無いです!したいです!リクオ様とデートしたいです!」
と慌てて返事をくれる。
(よし、釣れた♪)
リクオは内心ガッツポーズを取ると
「じゃあ今から準備してね♪」
とだけ告げて部屋に戻る。
「は、はい」
氷麗もリクオが部屋に戻るのを見ると急いで自室に戻り支度をしに行った。

それから十分後、二人は玄関で待ち合わせをして駅前へ向かった。
液晶は七夕ムードで盛り上がり七夕限定商品などの販売で人が大勢集まっている。
「凄い人ですね」
「まぁ七夕だからね」
そんな事を話しながら二人は目的地に向かう。二人は駅前にある大きなデパートに行く予定だ。これと言って用事は無いが色々見て回ろうということだ。
デパートに着くと先ずリクオが口を開く。
「氷麗大丈夫?暑くなかった?」
もうこの時期は夏の始まりなのでかなり暑い。今日は人も多いため尚更暑いだろう。リクオは暑さが苦手な氷麗を気にしてそう聞く。
「はい♪これくらいは大丈夫ですよ。それに今は涼しいですから♪」
デパートの中が涼しい為か氷麗はニコニコとそう返してくる。
「そっか…。それなら良かったよ。じゃあ色々見て回ろうか?」
「はい♪」
リクオは氷麗の手を握り歩こうとする。
「り、リクオ様!?」
それに驚いたのは氷麗で顔真っ赤にしている。
「うん?どうしたの?」
一方リクオは平気な顔して氷麗を見ている。
「だっていきなり手を繋いで…」
と真っ赤な顔隠すように俯く。
「だってデートでしょ?それとも氷麗は手を繋ぎたくない?」
リクオがそう聞き返せば氷麗は顔横に降って
「そんな事無いです!只のビックリしただけで」
(氷麗可愛いな…)
リクオは氷麗の反応を見ながらそんな事を思っていた。
でもリクオとしては早く氷麗とデートしたいため歩くよう氷麗を促す。
「そう?それじゃあ行こう♪」
「はい」
そう言うと二人は仲良く手を繋ぎ歩き始める。
しばらく歩いているとアクセサリーショップの前にきた。
(やっぱり氷麗も好きなのかな…)
そう思いながら氷麗を見ると氷麗もアクセサリーを眺めているところだった。
「氷麗、少し見て行こうか?」
リクオがそう聞くと氷麗は笑顔で「はい」と答えた。
氷麗はアクセサリーが沢山並ぶ場所へくると嬉しそうに眺め始める。
リクオもそれに着いて行くように後を追う。
「リクオ様見て下さい!これ可愛いです♪」
氷麗は桜の花びらのアクセサリーを見付けて嬉しそうだ。
(嬉しそうにしてる氷麗も可愛いな)
リクオはまたそんな事を思いながら氷麗に「そうだね」と返す。
そんなやり取りをしばらくしているとリクオはあるものを見付けた。
(これは…氷麗に似合うかな♪)
リクオは雪の結晶を模したシルバーアクセサリーを手に取ると氷麗の元へ持って行く。
「氷麗、これなんてどうかな?」
そう言いながら氷麗にアクセサリーを渡す。
「わぁ…綺麗。凄く良いですね♪」
氷麗は気に入ったらしく目をキラキラさせて眺めている。
「気に入ってくれた?」
「はい♪」
氷麗に聞くと嬉しそうにそう言ってくる。
「そっか。じゃあそれ買ってあげるよ」
そう言うとリクオは氷麗からアクセサリーをひょいと奪うとレジへ持って行く。
「ふぇ!?リクオ様!?そんな、いーですよ」
と氷麗は慌ててリクオを止めようとするが
「僕が買ってあげたいの」
と言われてしまえばどうしようもない。
「…はい」
結局リクオがアクセサリーを買って氷麗にあげる事になった。
「はい」
「あの、すいませんリクオ様。ありがとうございます」
氷麗はまだ悪いと思っているのか謝ってくる。
「良いんだよ。僕が氷麗に買ってあげたかったんだからさ。氷麗の事が好きなんだからそれくらい良いでしょ?」
そう言って氷麗の頭を撫でる。
「はい♪」
氷麗は嬉しそうに頷くとリクオの腕に抱き付く。
「ちょっ、氷麗!?」
いきなりの事にリクオは驚く。
氷麗はと言うと満足そうにしている。
「どうしました?」
「いや、だっていきなり抱き付いてくるから」
そう言うと氷麗は上目遣いになりながら
「リクオ様…嫌でした?」
と聞いてくる。
今度は真っ赤になったのはリクオで氷麗から顔を反らすと
「嫌な訳無いだろ」
と素っ気なく返してみた。
それでも氷麗は嬉しそうに笑うとさっきより強く抱き付く。
(氷麗、後で覚えてろよ?)
と心の中で氷麗への仕返しを考えながら
「そろそろ帰ろっか?」
リクオは話しを変えるようにそう言う。
「そうですね♪そろそろ帰りましょう」
と氷麗も賛成してくれる。
「でもその前に…」
「ふぇ?」
氷麗が此方を向くのに合わせて氷麗の唇に自分の唇を重ねる。
「///」
氷麗は突然の事に顔真っ赤にして口パクパクさせている。
そんな氷麗を楽しそうに眺めるとリクオは
「最後にアイス食べて帰ろう♪」
「は、はい///」
氷麗はまだ恥ずかしそうにしていたがアイスと聞いて元気になると二人仲良く手を握り歩いて行った。

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