温室で暮らす彼女

□音駒高校
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帰るときは必ず三人一緒に帰るのが当たり前



「あー。腹減った」



「クロ、狭いから向こう行ってよ」



「えー。車轢かれんじゃん。俺」



「避ければいいでしょ...クロはそんなにどんくさくないじゃん」




必ず真ん中に彼女がくる




「お握り、余ってるの...いる?」



「「でか」」



「なにそんなデカイお握り持ってきてたの?」



「...お兄が忘れたの。持ったいないからって...」



「あの人良く忘れるよね。...この前もリュック忘れてたよね」



「何しに大学行ってのか、考えんのかねぇ」



そして車側を黒尾が歩く

いざとなったら助けられるようにとこういう形に自然となった

研磨はゲームしたり、携帯弄ったりすることが多いし考えて動くタイプなので咄嗟の動きに遅れてしまう

その点、やや野生的な感覚がある黒尾は考えるより先に身体を動かすことができる



「...いらない?」



「「いる」」



「けんま、たべれるの?」



「平気、お腹減ってるから」



「...晩ごはん、残しちゃ...めっよ?」


「残さない残さない」



研磨の方を見ながらおにぎりを渡すまゆ

所謂、脇見していたのだが電柱に気づかなかった



「まゆ危ねぇぞ」



コラコラとまゆの肩を自分の方へ寄せた

バランスを崩して黒尾に寄りかかってしまうまゆはゆっくり見上げた



「...おにぎり、いる?」


「いるけれども...」



少し用心しなさいと言えば、大丈夫と言った



「...クロがいるから...平気...」



「まったく...」



「...助けてくれないの?」


「う...」



「まゆから離れなよ。転けるよ、まゆが。て言うか、無意味でしょ...その会話」



多分、三人嫌でも一緒にいるよ。研磨は何処か確信めいた笑みを浮かべて言った
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