一日一題 小説

□眠る
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身体が重い気がして目が覚めた。
見上げた天井は見慣れた自分の部屋ではなく、月島の部屋のものだった。

――あぁでも、もしかしたら自分の部屋よりも見上げているのかもしれないけど。


「腰いたい……」


ぽつりと呟く。久しぶりの泊まりで嬉しくて、お互いのヤることだけヤって寝てしまったから布団の下の素肌が少し寒い。

寝返りをうとうとして身じろぎした瞬間、疑問に感じていた身体が重い理由が分かった。


「…つきしま、重い……」


188cmの巨体が後ろから162cmをホールドしているのだから、それは重いはずで。
なんとかして抜け出そうとしてもびくりとも動かなかった。


「月島、つーきーしーまー」

「…うるさいなぁ…なに?」


前に回された腕を叩きながら声をかけると、後ろからいかにも眠そうな声が返ってきた。


「あの、重いんだけど。離して…」


耳元で囁かれ、顔に熱が集まる。
それでも精一杯の力で抵抗すると、腰に回されていた腕の力が強められた。


「いいじゃん、寒いんだよ…。体温高いんだったら温めて」


鼓膜を震わす低音。オレがこの声に弱いことを知ってやっているから、余計タチが悪い。

さらに密着してきた月島の身体は、確かに言うとおり冷たかった。
――そういや、体温低いって言ってたっけ。


「…仕方ないなぁ、もう……」


キツく回された腕の中でむりやり身体を捻り、月島の広い胸にすっぽりと収まるようにする。
触れる素肌は冷たいけど、大きく波打つ鼓動が聞こえて、少し嬉しくなった。


「これで寒くないだろ?」

「…まぁね。どうしたの?今日はやけに積極的じゃん」

「うるさい、なんかそんな気分なの」


変わらず軽口をたたいて、でもお互いにしっかりと身体をよせあって。


「――日向、眠いの?」

「んー…ちょっと、だけ……」


そんな言葉を交わしてるうちにだんだんと眠気が襲ってくる。

温かくなった月島の胸に顔を埋めて、小さくおやすみと呟いた。




*眠る*
(君の胸がオレの特等席。)


2014.10.29

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