一日一題 小説
□自惚れる
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※未来捏造あり。大学生くらい
例えば、少し嬉しいことがあったとき。
例えば、少し悲しいことがあったとき。
君の頭に一番に思い浮かぶのは、僕であればいいと思うんだ。
「つきしま〜、まだまだいけるだろぉ〜?」
「何言ってんの、さすがに無理だよ」
隣でけらけらと日向が笑う。
なんか飲みたい気分だから付き合って、なんて日向が押しかけてきて早一時間。
甘いカクテル片手に、すでに結構できあがってる。
今日はやけに機嫌がいいね、なんて言ったらきっとその唇からは、やたらと距離の近い独裁の王様や日向にやたら甘い爽やかな先輩の名前が紡がれるのだろう。コイツは本当にいろんな人に愛されてるから。
――でもさ、日向。きっとお前の周りにいるどの人より、僕が一番日向を大好きなんだって、知らないデショ?
「つーきーしーま、なに考えてんのー」
その上目遣いも、少しこっちに体重をかけてくんのも、計算してやってるのかな、なんて。
まぁ、それが計算ならすごいけど。天然だからこそ余計タチが悪い。
その天然は何人もの人を惹きつける。
だから、少なからず日向に想いを寄せている人は気が気じゃないんだ。
「つーきーしーまぁー」
「はいはい、何ですか酔っ払い」
「うぅ〜…酔っ払ってねぇし…」
「酔っ払いはみんなそう言うんだよ」
――でも。
飲みたい気分のとき、王様でも他の先輩でもなくて真っ先に僕のところに来てくれることとか。
ぽつりぽつりと、少しずつではあるけれど悩みを相談してくれることとか。
これは、もしかして。
*自惚れる*
(僕が特別だと思って、いいのかな)
2015.03.15