Shangri-la
□U 天使と嘘
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スランドゥイルside
サウロンが率いる軍との衝突が繰り返される日々。
私は父上と共に戦場へ出て、共に闘った。
両手に剣を構え、立ち向かう敵を斬りつけて行く。
闘い続きの日々に、私の体は限界で悲鳴をあげていた。
疲れ果てていた体は少し動いただけで息が上がる。
オロフェア : 息子よ、一度城へ戻れ。
私の周りに群がるオーク達を父上はいとも簡単に斬り捨てながら私に言った。
スランドゥイル : 父上、なぜ?私はまだ闘います。
オロ : 足手まといだ、戻れ。
父上は低い声でそれだけ言うと、私の前から去って行った。
己の無力さを痛感しながら、私は父の言う通りに戦場を後にしようとした。
私はふと足を止める。
ドス黒い鎧の海の中に、軽やかに飛び煌めく白が見えた。
それは鎧を身にまとっていたが、他のどのエルフ達よりも高く速く飛んでいた。
兜から出ていた金髪の美しい髪が、飛ぶたびに靡く、それがまるで天使の羽の様で・・・
それでも鋼鉄の様に鋭敏に、そして確実に着地しオークを斬りつけて、また軽やかに飛び上がる。
_____新しい親衛隊だろうか・・・
オロ : スランドゥイルっ!何を突っ立っているのだ!戻るのだ!
飛んできた父上の罵声に私は慌てて馬に飛び乗り、森へ向かった。
一度だけ、黒い海を振り返り見たが、白の天使は一人舞っていた。