short dreams
□はじけた果実
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スランドゥイルside
彼女を見ていると胸騒ぎがする。
彼女のそのひとつひとつの挙動が言葉が、私の何かをかき乱す。
いてもたってもいられなくなる。
私の何かをおかしくする。
何故だろうか____答えは直ぐに分かる。
私は彼女のすべてを求めているからだ。
彼女だけは愛してはならないのに、求めてはならないのに・・・
其れ故、冷たく突き放す。
自分と、そして彼女を傷つけないために・・・
*
初めて名無しさんと出会った時、彼女は既にレゴラスの隣にいた。
レゴラスは彼女に愛おしそうに微笑みかけると、彼女もまた愛おしそうに微笑み返す。
二人は恋仲であった。
絹のようにさらさらとした金の髪に、雪のように白く透き通る肌、そこに生える真紅の唇・・・
そしてエメラルドグリーンの瞳。
あまりの美しさに目を奪われた。
長い睫毛が持ち上がり、
宝石のような瞳が私を見つめると、大きく私の胸は飛び跳ねて、どうにかなってしまいそうだ。
咄嗟に目を反らす。
レゴラス:父上、私は名無しさんと結婚します。
スランドゥイル:お前たちが望むのなら・・・
冷静に言えただろうか、と不安だった。
平静を装えただろうか・・・
名無しさん:それは嬉しいお言葉ですわ・・・
天使のような微笑みが、
琴線を指で優しく跳ねたような美しい声が、私の鼓動を早くする。
その日からずっと彼女のことばかり考えていた。
___もし、私と先に出逢っていたら・・・
___もし、あの微笑みが私だけのものだったら・・・
もし・・・だったら、と考えるにつれて罪悪感で押し潰されてしまいそうだった。
横恋慕など、ましてや息子の横恋慕など卑劣なことなどしたくなかった。
ならば、いっそのこと彼女に嫌われてしまえば良い・・・
そうすれば、この想いも断つことが出来るだろう。
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