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□私ノ兄 二章
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『名無しとパパは……名無しとパパはどこいったの?』
『丈一郎、今日からお母さんと二人で暮らしていくのよ』
『なんで?……なんでママ?イヤだ、僕いいこにするから……またくらせるよね』


その時のママの泣きそうな顔が今でも忘れられない。

子供の俺でさえ分かった『言ってはいけない事を言った』ってこと。



『私ノ兄』 二章



「こっち」


お兄ちゃんが住むマンションの窓から私たちは部屋に入り込む。


「大体ミッションは一週間に一回のペース、だからミッション終わった後に家帰れるように自分の部屋の窓開けてるんだよ」
「ふーん」


お兄ちゃんは靴を玄関に置くために部屋を出た。

「あら、丈一郎……まだ起きてたの?」


ドア越しから女の人の声が聞こえた、多分お母さん。


「ごめんなさい、起こしちゃった?」
「それはいいけど……その靴は?」
「……名無しの靴、今僕の部屋にいるんだ、出ておいで名無し」


お兄ちゃんに呼ばれた私は恐る恐る、ドアの隙間から顔を覗かせる。


「名無し……名無しなの?」
「……はい…」



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