龍桜鬼伝

□第四幕
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翌日。私は総司に外で待っててもらった。
....この姿を見たらなんて言うかなぁ〜?

「そーじ!お待たせ!」
「遅いよみ........誰?」
「あはははは!予想通りの反応!美里だよ!」
「なに?その格好....」

それもその筈、今の私の格好はいわゆる男装だ。深緑の着流しに灰色の袴を履いて髪は高い位置で結ってある。勿論、桔梗色の髪紐で。

「屯所に行くのに女の格好じゃだめだろ?」
「そりゃそうだけど....って口調も男っぽくなってるし........」
「まぁ、口調もその方が合ってるだろ?」
「はぁ....分かったよ。じゃ、行こっか。」

そして私達は屯所に向かった。

─────────────────────

「あぁぁぁ!気になる!あの子は誰なんだぁ!」
「おい、新八うるせぇぞ!」
「でもさー、総司朝帰りなんだろー?
...まっまさか!//////」
「平助、お前落ち着けよ。」

昨日の四人で話していると入口の方から総司と誰かの声がした。口調からして男だろう。
しかし、隊内にあいつとあんなに親しく話せる奴なんて....幹部以外にいるか?

─────────────────────
「近藤さん!ついでに土方さーん!お客さん連れてきました〜!」
「おい、総司!朝からうるせぇぞ!」
「まぁまぁ、トシ。
で、総司。お客さんとは?」
「入っていーよー!」

総司から声が掛かって私が部屋に入ると二人はじっと見てきた。土方さんはやはり鋭いらしく、探るように見てきた。

「どうしたんだい?もしかして入隊希望者か?」
「....近藤さん、土方さん、やっぱり気づかないんですね........」

私がそう言うと近藤さんは首を傾げ、土方さんは分かったように目を見開いた。
....その際総司が土方さんの顔を見て爆笑しているのは無視しよう。

「....お前....美里....か!?」
「な!トシ!美里は女子だぞ!?」
「クスクス....そうですよ。龍崎美里です。
お久しぶりです。近藤さん、土方さん。」

私が結っていた髪を下ろすと、二人は一瞬驚いた顔をし直ぐに破顔した。

「大きくなったな!美里!な!トシ!」
「ああ。元気そうで何よりだ。まさか、こっちに出向いてくれるとは思わなかったぜ。」
「連れてきた僕に感謝して下さいね〜土方さん♪」
「てめぇは黙ってろ!総司!」
「あはははは!」

私達四人で話していると、外から土方さんを呼ぶ声が聞こえた。

「土方さん〜!って、総司!ちょうど聞きたかったんだ!昨日の女の子とどういう関係だよ!」
「そうたぜ!総司!俺に黙ってあんな可愛い子と!」
「あんたは関係ないと思うぞ永倉。」
「ははっ龍之介の言う通りだぜ〜新八。」

と、また二人新たな人がやって来た。

「局長、副長、お茶をお持ちしました。」
「おやおや、随分賑やかですねぇ。」
「お!斎藤。すまねぇな。」
「山南くん!いや〜皆集まってしまったな!はははは!」

ここで、自己紹介していった。
平助、新八さん、左之さん、龍之介は昨日会ったから二度目だが初対面のように自己紹介してくるもんだから笑いを耐えるのが必死だった。

「じゃあ、次は君だよ。」
「はーい。私は龍崎美里です。こんな格好してますが女です(笑)よろしくお願いします!」
「「「ええぇ!?」」」
「なんだよ、お前ら気付かなかったのか?昨日のねぇちゃんだって。」

おっと、左之さんは気付いてたのか。じゃあ、自己紹介の時はノリでいってたんだな........。

「で、美里。何か用があって来たんじゃねぇのか?」
「わぁ!土方さん流石鋭いですね!俳句の才能ないのに!」
「!?うるせぇ!お前も一言多いんだよ!相変わらず!」

この時皆思ったそうだ。
(((((総司が二人いる........)))))と................。

「ゴホンっ!で、何の用だ。」
「....回りくどい言い方は好きじゃないので直球で言います。私....いや、俺を浪士組に入隊させて下さい。」

私がそう言うと総司いがいの人達がざわついた。それもその筈。女の子が男所帯のしかも危険な仕事が多いこの浪士組に入隊を希望したのだから。

「お前。今なんて言った?」
「土方さん、遂に年で耳がおかしくなったんですか?浪士組に入隊したいって言ったんですよ。」
「お前なぁ!........入隊なんざ、認める訳ねぇだろ!お前は女なんだ!こんな汚ねぇ事に手を染める必要なんてねぇだろ!」
「美里....どうして入隊を希望したんだ?」
「私は、近藤さんに感謝しているんです。
私はあの時自分の剣は何の為にあるのか分からなくなっていた。だから、主の元を平気で去ってしまった。だけど、私はあの試衛館で、近藤さん達に出会えてまた自分の剣を思い出すことが出来たんです!だから、近藤さんの役に立ちたいんです!」

私がそう言うと、皆は黙ってしまった。
その時、

「じゃあ、幹部と試合してみて勝ったら入隊で良いんじゃないですか?」

総司が救いの手を差し伸べてくれた。
土方さんは唸っていたが、近藤さんが了承してくれた。土方さんも結局は許してくれたが........

「ただし!総司に勝ったらにしろ!」

この一言には全員が驚いた。

「土方さん!それじゃあ絶対に無理だろ!?」
「あぁ、そうだぜ!何も隊内でも強い総司あいてなんざ無理だ!」
「いいよ。私だってこの数年何もしなかった訳じゃないんだから。」

皆は渋っていたが、私のこの一言に漸く納得してくれた。

「じゃぁ、壬生寺で試合を行う。見たい奴はこい。」

土方さんの一言に私達は続いていく。

さて、やれるだけやりますか♪
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