二次創作1 PWS FAIRY TAIL


□1.change
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結局お姉様の値切りは5000Jまで続き、店主様が諦める形で終わりました。
というか…、そこまで値切られて承諾してしまわれると、もはや最初からそれくらいの値で売っても平気だったんじゃないか、なんて勘繰ってしまいますわ。

失礼なので口にはしませんが。

なにより、お姉様が満足げなので全てが良しなのです。

ただ。

あまりその美貌を大の男に見せるべきではないと思いますわ…!

さっきの店主様の野郎もあからさまに鼻の下を伸ばしていやがりましたもの…。
燃やしてやろうかと思いましたわ…。冗談ですけれど。

一割ほど。

そう…、一割。具体的には『冗談』のあたりが冗談ですわ。ふふふ。

「…あれ?なんだか騒がしいわね…。お祭りなのかしら?」
『あら、本当に…。行って見ましょうか?』
「そうね!お祭りだったら寄って行こうかしら?」
『!本当ですか…?』
「うん!クルーチェもみたいでしょ?」
『はい!』

はっ…!

わたくしとしたことが…。
子供のようにはしゃいだ声を出すなどとはしたない…!
お姉様も苦笑いしているじゃありませんか!

お恥ずかしいですわ…。

「普段からそれくらい元気があるといいんだけどね…」
『?なにか、仰いまして?』
「んーん。気にしないで」

はぁ。と、少し気の抜けたような返事をしてみる。
お姉様がなにか仰っていた気がしたのですが…。わたくしにではなかったのでしょうか。

独り言ということもありますし…。
はっ!まさか!

わたくしといても、つまらない…⁉︎

だからボソッと独り言で…?

と、いう被害妄想は心の隅に追いやり、歩き始めたお姉様の背中を追い、嬌声の甲高く鳴る方へと向かってみる。

なんだか、祭り事の雰囲気とはどこか違いますわね…。

人を囲んでいるようですし…。
有名人をファンが囲んでいる、というところでしょうか…。
すこしがっかりですわね。

いえ、元から別に期待などはしていないのですけれど。ええ。全く。

『…?なんだか…、変な匂いがしますわね…』
「そう?」
『えぇ…。なんでしょう…?香水、でしょうか…。甘ったるくて嫌な匂いですわ』
「あの中の誰かかしらね」
『行くんですの?』
「うん。なんで人だかりができてるのか気になるしね」

それだけ言うと、お姉様はその集団に歩み寄る。
わたくしはというと、匂いがキツすぎて顔を顰めて鼻を摘まみながらその背中を追います。

どなたかしら?このような趣味の悪い『匂い』を放っているのは…?

殺気でも放ちたいほどに酷い匂い。
お姉様に纏わり付いたらどうしてくれましょうか…?

取り敢えず消し炭にして差し上げます。うふふ。

「っ⁉︎」



お姉様の肩がビクんっと跳ねる。
不思議に思い、服の袖を摘まみながら引っ張っても反応は無し…。
これは、どういう?

『ッ!あのっ、急に押さないでくださ』
「あんた邪魔よ!『火竜(サラマンダー)』様を見る気無いんならどいて!」
『ひゃっ!』

『火竜』?なんですのそれ?
わたくしの疑問など御構い無しにずいずいと人だかりが押し寄せ、波を象る。

お姉様…?

『お姉様⁉︎』

お姉様が、いない?
いえ、『匂い』は確かに近くにある。
大丈夫。集中しましょう!
そうすれば…。

ん?

もう一度その波を見れば少々背の高い光のような金髪がふわりふわりと揺れて割り込んで行くのが目に入る。
あの方。まさか堂々と割り込んで行くなんて…。

「あぁ…。ったく…。なんだこりゃあ…。悪ィけど、通してくれないかなァ…?」

少し面倒臭がるような、そんな声を漏らしてもさっぱり顔を歪めず、胡散臭いほどニヤニヤ(ニコニコ?)した、顔は端正なはずなのにどこか憎たらしい青年が人だかりの中央へと向かう。
あらやだ、何故こんなにも酷評してるのかしら?
不思議だわ。

でも。

嫌悪感はあまりありませんわね。
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