別の夢を見ませんか?

□風邪
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麦わらの一味に入って1週間が経った。
カナはベッドに俯いたまま目を覚ましたが体に脱力感が感じられていた。
起き上がると頭はくらくらするだけでなく胃の中から何がか出てきそうなほどだ。
「うぷっ・・・」
耐えられなくなったカナは急いで女部屋を出てトイレに向かって胃の中の物を吐き出した。
「げほっ・・・」
トイレットペーパーで口元を拭い、流してからトイレから出ると体が熱く感じられた。
(風邪ひいたかな・・・久しぶりだよな・・・この感覚・・・)
今まで風邪をひいてもぐっと我慢して動いてきた。
そうしなければいけないと子供のときに学んだためカナはここで寝込むわけには行かなかった。
(大丈夫だ・・・子供の頃も奴隷解放として活躍していたときも・・・ずっと働き続けてきた・・・戦い続けてきた・・・僕はこの程度で倒れたことはない)
風邪を乗り越えて動き続けるのも戦いの宿命だと心の中で呟き、キッチンに向かった。
「おはよう、カナちゃん」
サンジが笑顔でカナを迎えた。
テーブルにはルフィ達が座っており、朝食を食べていた。
甘酸っぱい香りがするオレンジフレンチトーストとフルーツサラダが乗っていた。
「今朝もおいしそうだな」
カナは軽く笑みを浮かべて言ったが食欲が全然ない。
それでも無理矢理口に押し込んで平らげた。
「んんっ・・・美味しかったよ・・・ご馳走様」
ホットミルクティー(砂糖なし)も飲み干すとカナは胃もたれを感じる腹を軽く抑えて立ち上がり、今日の新聞を手に取ると看板に出た。
木の木陰にもたれ、新聞に目を通した。
「これで億越えのルーキーも麦わらとゾロを含めて11人か・・・別々の道で航海しても新世界に行く前に必ず集結する場所がある・・・その場所は・・・」
新聞を折りたたみながら独り言を呟いていたとき、ルフィが釣竿をもってカナを覗き込んだ。
「カナ!釣りしようぜ!」
「釣りか・・・」
「魚たくさん釣って昼飯に魚料理を作ってもらおう!」
「久しぶりにやってみるか」
立ち上がるとさっきよりも体調が悪化したがカナは必死で堪え、ルフィと釣りを始めた。
途中にウソップ・チョッパー・ブルックも仲間に加わり、和やかに釣りを続けた。
晴天日和に静かに揺れる波。
ルフィ達は釣りをしながら転寝を仕掛けていたがカナは息を荒げるのを必死で堪えていた。
(か・・・体が・・・熱いっ!筋肉の振るえが止まらないっ!)
体中からは汗が噴出し薄い長袖シャツは湿り出し、終に意識を手放してこのまま海に落ちた。
カナが海に落ちる音が聞こえると転寝をしかけていたルフィ達は叫び声をあげた。
「「「「あああー!!!カナ (さん)がぁぁっ!!!」」」」
能力者であるカナは浮かぶことはない。
「「「待っていろカナ(さん)!!!今助けてやる(あげます)から!!!」」」
「ちょっと待てコラぁああっ!!!」
ウソップが阻止する間もなくルフィとチョッパーとブルックは海に飛び込んだが3人も能力者のため浮かぶことはなかった。
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