『オオカミとリス』
□007.呼出
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ソファに横になったまま、いつの間にか寝ていたらしい。
携帯の鳴る音に目を覚まし画面を覗くと、翔さんからの着信だった。
『もしもし、ニノ?…寝てた?』
「…あ…ちょっとだけ…」
『なぁ、飯食った?』
「いや…まだです」
『今近くで呑んでるからさ、顔出さね?』
翔さんからの電話を切り、出かける支度をする。
普段なら外に出るのが面倒だから断るのだが、明日は休みだし、家の近くの居酒屋だから行くことにした。
どうせ家に居ても、答えの出ない悩みに悶々とするだけだし。
暖簾をくぐり、案内された個室へ入ると、思いがけない人が翔さんと座っていた。
「大野…さん?」
クタクタに酔ってる翔さんの横で、大野さんは少し困った顔でふわっと笑って手を挙げた。
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