日岳

□力の限り
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この頃気になる奴がいる。

後輩なのに、口が悪いし、俺より背が高い。
すっごい生意気な奴。


...だげど、好きになってた。いつのまにか。

憎いけど、憎めない。




俺はアイツが好きだけど、アイツは俺の事が嫌いみたい。
男同士って事もあるみたいだけど。

そう思うと悲しくなる。
俺は俯いた。



「向日さん、どうかしたんですか。」
「あ...日吉。」

心配そうに目線を合わせてくる、日吉。

「なんか、風邪でも引いたんですか?」
「べっつに。」
「そうですよね、バカは風邪を引かないって言いますもんね。」
「うん...。」


俺は曖昧に答える。日吉は鼻で笑った。


「ま、精々風邪引かないでくださいよ。」

そう言い、いかにも子供が買ってそうなのど飴をくれた。
俺も自然と笑みがこぼれる。

(好きだなぁ...)

心の中でそっと呟く。



「あっ!ひよ!」


「...なんですか。」


そういうアイツに伝えてやるんだ。

力の限り"好き"って言うんだ。
そうしたら、どんな顔するんだろ。



「俺、日吉のこと、好きだ!!」


気持ちが伝わるのは、あと1秒後。









(たとえ、体がちぎれても)

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