夢の先
□17.好き。
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帰り道、みんなと別れて蓮と2人、暗くなった帰路と歩いていた。
わりと近いその2件の間にある小さな公園は、かつて私達が作戦会議を開いた場所だ。
「ブランコ」
「乗りたいの?」
乗りたくて言ったわけじゃない。なんとなく目についただけ。
でもそうだな、誰も見てないし、
「乗りたい」
かも。
「いいね。行こ」
2人で並んで座った。
金属の擦れる音が薄暗い公園に響く。
なかなか会話が出てこなかった。
ブランコとは不釣り合いな大きな2つの影は、規則的な前後運動を繰り返す。
「・・・さみしい」
月明かりとわずかな電灯。
光の方を眺めていても、蓮がこっちを向いている事が分かった。
「会いたい。また・・・みんなで」
辺りが暗くなり、今日の終わりを告げるように、私達の全てが終わってしまう気がした。
明日になれば卒業式。最後の日なんて迎えたくない。
卒業後、私と恭平は就職。他の4人は大学に進学する。
「会えるよ、また必ず。奏多が忙しくなったって、俺らが勝手に集まっておしかけて行くよ」
休みなんか取れるか分からない私の仕事じゃ、集合がかかった時にまたみんなに迷惑をかけてしまう。
「・・・・・・まぁでも、いっか。迷惑かければ」
「え?」
「しばらく会えなくなると、きっとすっごい寂しくなる。てかもうさみしい。でも、しょうがない事だよね。今までは毎日会うのが当たり前だったんだから。でも二度と会えなくなったわけじゃないから、だからどうしても会いたくなった時は、無理矢理集まって、また会おうね」
そう。今度は誰かを失ったわけじゃない。今までのように。
だから今まで通り、これからも無理言って、バカやって、笑い合えればいいのだ。
元来私は、わがままなのだから。
「ははは、出たよ奏多の自己完結。話全然分わかんねぇ。でもね、そうだよ。それでいいんだよ。かけられる人には迷惑かけて、反省して、学んでいけばいい」
離れて行かないで。恥ずかし過ぎて、そんな事は言えないけれど。
そう思ったらちょっとだけ、立ち止まってグズって見ればいい。
そしたらきっと、心強い仲間が笑って抱きしめてくれる。
手を引いて、たまには思いっきり走ったりして、連れて行ってくれる。
何よりも幸せな、光の方へ。