木花*其の一*

□1.捉まれた左腕
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ガシッ


効果音に例えるなら、やっぱり、この音が一番しっくりくる。


屋上の扉を出ようとしていたのに
ああ、また…この感じ。

昨日と同じように、私は左腕を…捉まれる。




そして、私は左腕を捉む、その先を見つめた。




「勘違いじゃない」







そこには今にも吸い込まれそうな、彼の目。



嘘をついている目なんかじゃない。

それだけは、わかった。











だけど…

私は、木花なんて人ではない。



――それも嘘ではないはずなのに。


〜続く〜


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