木花*其の一*
□5.螢子ちゃん
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それは…
奈由自身も
"リアリティ"のない立場にあるから。
奈由は理解していた。
自分はもう、"リアリティ"のない世界を
信じられるくらいの器になっているのだと。
それが何故なのかは…言うまでもない。
『とにかく信じるよ。
でも寝たっきりなんだ?』
「そうなの。でもね…幽助は必ず目を覚ますわ。
以前、ある友達の体を借りて伝えに来てくれたこともあるの。
必ず…戻ってくるからって」
人の体を借りて?
今は、幽霊ってことかしら…?
『...はやく戻ってくると、良いね』
奈由は、一つ間を置いてから言うと
それに合わせて、螢子ちゃんも笑顔で返事を返してくれた。
「…うん!」
幽助君……か。
一度死んだ人間が
また目を覚ます、だなんて
普通の人じゃ信じられないんだろうな。
でも、何故だろう。
私には…わかる。
近い将来…
幽助君が目を覚ます日がやってくる、と。
〜続く〜