木花*其の一*
□11.溢れ出す葛藤
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「奈由ちゃん…首が…!」
ぼたんちゃんがそう言って
私の首を、驚いた顔で見つめた。
その頃には
やっと過呼吸も落ち着いて
平常心を取り戻していた私は
ぼたんちゃんが
あまりに険しい顔をしているので
鞄から手鏡を取り出して
自分の首元を見た。
そこには、剛鬼に首を締められた
手の跡がクッキリと残っていた。
忘れてしまいたいのに
まるで忘れることを
許してくれないかのように
争った証が、私の首に
赤く染まって、深く深く
刻み込まれていた。
私は、ソッと…鏡を閉じた。