木花*其の一*
□12.温もり
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「ちょ、ちょっと!?
奈由、どうしたの!?」
「そ、その首…」
「昨日は、無断で学校休んでたし
何かあったの!?」
朝から、教室中に響き渡る大きな声。
この明るくて、大きな声のおかげで
眠気がスッキリと覚める。
私にとって、一番有効な
目覚まし時計かもしれない。
私の、大事な友達の声。
『朝から元気だねぇ…』
鞄を机の横に掛け、自席に着くと
仲良し4人の
沙希、理央、優、明日香は
奈由の席に
引き寄せられるように集まった。
「だ〜から、首!どうしたの!?」
『ちょっと怪我しただけだよ。
全然心配することないって!』
ぼたんに巻いてもらった
包帯のおかげで、痣は見えない。
心配してくれている友達に
本当の事が言えないのは
申し訳ないけれど…
これだけは、隠し通さなくちゃ。
私は、笑顔いっぱいに
4人の心配を振り切った。