木花*其の一*

□13.母と子の絆
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ーキーンコーンカーンコーン…



2人の空間を遮るように
予鈴の鐘が響き渡る。

温もりを互いに預け合い
倖せを噛み締めていた2人だが

それに終止符を打つように
南野は、奈由を
抱き締めていた手を、手離した。


「そろそろ戻らないと…いけませんね」

『…あ、う…ん…』

「群青さんの都合も考えずに…
無理に連れてきてしまい、すみませんでした」

『う、ううん!そんな事、全然……あ…』


そ、そういえば…

き、きっと、沙希達怒ってるよね。

食べずに待っててくれたかもしれないし。うう…参ったな。


南野は、バツの悪そうな顔をした奈由を見て
誰かとお昼を食べる約束をしていたのだと、察した。

すると、資料室の扉を開け
ふたたび、奈由の手を握り締めた。

「教室まで送ります。行きましょう」

『ふぇ!?み、南野君…ちょっ…ぇえ!?』


薄暗かった資料室を飛び出すと
そこには明るい日差しが待っていた。

南野に手を引かれて、歩む廊下。

まるで、今までとは違う別世界に感じる。

全てがキラキラ輝いて見えるのは
どうしてなんだろう。
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