木花*其の一*

□14.月夜の訪問者
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『ただいまぁ〜』

「奈由、おかえり〜。もうそろそろご飯できるよ。着替えておいで」

玄関のドアを開けると
キッチンから良い匂いがしてきた。

それとワンセットで、聴こえてくる母の声。
当たり前の日常。
でも本当は、当たり前じゃない日常。

普段なら、真っ直ぐ部屋に向かうところだけど
今日は、母の姿をすぐにでも見たくて
料理する後ろ姿をチラッと覗いてみた。

……家に、お母さんがいる安心感って
何にも変えがたいものだな。


「ん、なに?どうかしたの?」

『ううん、何でもない!制服、着替えてくるね』


より、志保利の回復を強く願う。



奈由は、少し微笑むと
二階の階段を上がり、自分の部屋のドアノブを捻った。



ガチャッ





「おお。帰ったか」





バタンッッッッッ!!!!!!
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