木花*其の一*

□17.初めて呼ぶ、君の名
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「な〜〜に…読んでんの?」

『わ!ちょっちょっと!?返して!何すんの〜!』

朝のHRが、始まる前。

いつもなら、HRギリギリに登校してくる奈由が…
誰よりも先に登校し、なんと自席に座って食い入るように本を読んでいた。

見慣れないその光景に
明日香、理緒、沙希、優は、目をまん丸にしながら奈由に近づいた。

しかし、後ろから覗き込んでいるのにも気が付かないほど、読書に熱中している。

となると、次に気になるのが
何を読んでいるか、だ。

理緒は、悪戯な笑みを浮かべ
奈由の後方から、腕を伸ばし素早く本を強奪した。

『やだやだ!返して!バカー!』

「どれどれ〜〜…え?」

取り返そうと慌てふためく奈由など全くお構いなしに、本の表紙を見入る理緒達。

その意外なタイトルに、4人は硬直した。
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