木花*其の一*

□18.霊界からの知らせ
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「よっ」

挨拶だけで、妙な貫禄を感じさせる
小さな、小さな…男の子。

突如、目の前に現れたその子供を
秀一が 「コエンマ」 と呼んだ。

どうやら、顔見知りのよう。

そして奈由もまた、その名の人物に…心当たりがあった。

『コエンマって、まさか…?』

「うむ。おぬしと、この姿で会うのは初めてじゃな。先日は、突然邪魔して悪かったな」

『え…ぇぇええ!?あのコエンマさん!?』

ーーー絶句。

目の前にいる、子供の正体は…

ぼたんと幽助の上司で
霊界で2番目に偉いお方。

閻魔大王Jr。通称、コエンマ。

初めて会った時とは随分、容姿が違いすぎる。奈由は、おもわず半信半疑の眼差しで見つめてしまった。

その一方、秀一は、奈由とコエンマに面識がある事実に驚いている。

「奈由、コエンマのことを、知っているんですか?」

『う、うん。前に一度だけ会った事があって。でもその時は、もっと背が高かったというか…大人の姿だったはずなんだけど……』

「ん〜まぁ…あれはつまり〜…余所行き用のスタイルってやつじゃ。霊界の偉いもんが初対面から子供の姿じゃ、何を話したって説得力に欠けるだろう?うはははっ」

腕を組んで頷く仕草に、どっしりとした喋り方……容姿とはミスマッチな態度に、まるで違和感しかない。

だけど、あの大人姿のコエンマさんと、この子供コエンマさんが同一人物っていうのは、どうやら間違いなさそうだ。

『コエンマさん、どうしてここに?』

「うむ。ちょいと、おぬしに話があってな…」

『私に、ですか?』

首を傾げ、クエスチョンマークを頭いっぱいに浮かべる奈由。
その隣には、神妙な面持ちでコエンマを見つめる秀一。

2人は肩を並べて、コエンマの言葉に耳を傾けた。
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