木花*其の一*
□2.盾と矛と南野秀一
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捉まれた左腕を強引に振り払った。
おまけに、怒りを込めて屋上の扉を思いっきり開き、そして思いっきり閉めてやった。
『何なのよ!?あいつ!』
無償に腹が立った。
誰と勘違いしてるのか知らないけど、失礼な話だわ!
私は、屋上から教室に戻るまでの間、ずっと眉間に皺を寄せていた。
眉間に皺を寄せると、倖せが逃げるとかいうよね。
でも…今は、そんなこと関係ない!
腹が立っとるんじゃあ〜!
「あ、帰ってきた」
「奈由、どうだった…って…どうした!?」
教室に戻ると沙希達は、すぐに奈由の鬼の形相に気が付いて駆け寄ってきた。
「一体どうしたの?何か言われたの?」
『言われた。知らない女の名前』
「は?」
奈由は、荒々しく席に着席し
珍しく次の授業に使う教科書などを準備し始めた。
何かしていないと落ち着かない。
「何か良くわかんないけど…奈由がそんなにキレるってことは相当だね」
「なかなか罪な男だね…南野君」