木花*其の一*

□8.紐解かれた真実
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森の茂みから、現れたその姿とは奈由も良く知る、あの人。



『南野君...』

思わず、小声で呟いた彼の名。


奈由にとって
前世での恋人同士だったとされる

蔵馬、もとい南野秀一の姿がそこにあった。

これが、おとぎ話だったら可愛いものだが
現実、前世が妖怪だなんて、信じがたいし、正直不気味な節もある。



―どうして、南野君がこんな所に...。


不安と疑問で心の中を、締め付けられたが
奈由は、固唾を飲んで
ジッと3人の様子を見つめた。



「わざわざ、3人で霊界まで乗り込んで手に入れたこの秘宝。
思う存分に使い、暴れてやらねばこの秘宝達もただのガラクタにすぎん。まずは何をする?」

「かかかっ!俺はこの餓鬼玉で魂を吸い取ってやるよ!活きの良い子供の魂が良いな!」


どうやら「レイカイ」という場所から

小さな男の持つ剣。

角を生やした男の持つ餓鬼玉と呼ばれる玉。

そして、南野君が手に持つ、丸い鏡を盗み出したらしい。


だけど、レイカイって…どこだろう?


それに、盗んだって…南野君が?
前世は盗賊だったとは言っていたいけど...まさか...。



すると、沈黙を守り続けていた
南野君が、突然に口を開いた。



「悪いが、俺は手を引かせてもらう」

「なに!?」

「どういうことだ!?それは、仲間を抜けるということか!?」

「そうだ」


南野君の、突然の言葉に男2人は
驚きの表情を浮かべ、且つ怒りも露わにしている。

不穏な空気が、3人をどんどんと包み込んでいくのがわかった。
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