木花*其の一*

□10.覚醒の初期段階
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『嘘...どうしよう...え?ええ?』

重い身体を起こして
寝ぼけ眼で、学校へ行く準備をする。

制服、OK。
髪の毛、OK。

鞄...

カ、カバン......ない。




『えええええー!!!?』


鞄がないー!?

『うそ!?うそ!?何でぇ!?どうしたんだっけ!?』

教科書もノートも!
財布も全部、入ったままなのに!?
一体、どこにやったの!?

パニックに陥る奈由は
鞄を最後に使った場所を思い出そうと、働かない頭を一生懸命フル回転させ、記憶を巡らせた。

昨日の学校では、勿論持ってたし
放課後に買い物に行かなきゃいけなかったから...勿論持ってたし...




も、もしかして


『あの森の中に置いてきちゃった...?』

森の中。
昨日のあの光景が蘇る。


妖怪の狂気に満ちた、あの姿。
凄まじい破壊力で
幽助君に、深手を負わせた。

…私も、殺されかけた。

『あそこに、また行かなきゃいけないの…?』

そう思うと、恐怖で身体が縮こまった。

行きたくないな。
でも、誰かに代わりに行ってもらうわけには行かないし…。

あ。もしかして!

森じゃなくて、幽助君の家に
置いてきたのかもしれない!

その可能性がある!と思うと
気持ちが多少、浮上してきた。

教科書もないとなると
授業も何も受けられないし
ましてや何も持たずに行ったら
友達から笑われそうだ。

奈由は、遅刻覚悟で
まずは、幽助の家へ行く事にした。
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