彼氏
□ツンギレ彼氏宮地さん
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私の彼氏は宮地清志。
轢くぞ、刺すぞ、埋めるぞ、など物騒な発言をすることに定評のあるバスケ部レギュラー。
自分にも他人にも厳しく、毎日遅くまで自主練を欠かさない清志。
後輩からも恐れられているみたいだ。
でもそんなツンギレ彼氏にも甘えたい時はあるらしく。
「...ちょっと清志、みんな見てるんだけど」
「監督と大坪には許可貰ってるから大丈夫」
「ねえそんな問題じゃないよ」
何故か今、私は清志に抱きしめられていた。
やはり清志のイメージは"恐い先輩"だからみんなじっと見てくる。
2、3年生はもう慣れているのか普通に休憩をとっているが。
特にあのセンターわけの前髪をした子と緑髪で眼鏡をした長身の
子。
すごいガン見してくるんですけど。
それこそ視線でこんがり焼けちゃうんじゃないかなって位に。
「清志、私図書室で待ってるから」
「...今日は自主練しねー。ナマエと帰るから」
「え!?...でも」
「ダメ、か?」
蜂蜜色の、男にしては大きめな瞳で不安気に見つめられるとどきっとする。
190オーバーの長身なのに可愛いってどういうことなの。
私は清志のこの目に弱い。
清志もそれを承知済みで使ってくるからまたたちが悪いんだ。
「...わかった、校門の前で待ってる。早く来てね」
「おう」
別れ際にちゅっとキスをすると、私はスクールバッグを持って、清志はバスケットボールを持って反対方向に歩き出す。
しばらくして、体育館から「ええええええええええ!!!?」という野太い声が聞こえた。
((あ、宮地サンの彼女サン!))
((あら、この前の))
((覚えててくれたんスか? 和成嬉しい!))
((ふふ。清志からいつも聞いてるよ、生意気だけどいい後輩だって))
((!! ...俺も宮地サンからよく聞いてますよ!))
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