彼氏

□強がり彼氏日向くん
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私の彼氏は日向順平。


誠凛バスケ部の主将でクラッチシューターというらしい。

スイッチ入るとめっちゃ怖い。

まじで。



「ナマエ...」

「ん?」

「...ッ、」



毎日頑張っている彼氏様が今日は珍しく甘えてくる。


私の肩に顔をうずめ、ぎゅうっと抱きしめてくる。

見た目より柔らかい髪を撫でると、さらに強く抱きしめられた。



「...木吉が、」

「木吉くんが?」

「...入院、した」

「...え?」



聞けば、今日の霧崎第一との試合のラフプレーで怪我をしたらしい。


相手は花宮真という、"無冠の五将"の中の1人。

悪童と呼ばれ、ラフプレーも平気でする 危険なヤツ。

それでもやっぱりバスケは強いみたいだけど。


苦しいだろうに、ぽつりぽつりと話してくれた。

順平の声が震えているのがわかる。



「あいつ、辛いはずなのに笑顔を作って...」

「うん、」

「見てるこっちのが苦しいんだよ...!」



今にも泣き出しそうな声を出すにも関わらず、涙は流さない。


順平も、強がってるじゃん。



「...順平、」

「あ?」

「泣きたかったら、泣いていいんだよ?」

「ッ...!」

「来年、日本一になっちゃえばいいんだもん」

「...わあってるよ、だアホ...っ」



首筋が静かに濡れていく。

涙を流す順平を、ただ黙って抱きしめていた。









((...ありがとな、ナマエ))

((? 何が?))

((俺の彼女でいてくれて))

((! ...ふふ、こちらこそ))



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