彼氏

□わんこ系彼氏黄瀬くん
1ページ/1ページ



私の彼氏、黄瀬涼太。


今人気上昇中のモデルで、おまけにキセキの世代というバスケがすごく強い5人の中の1人。

甘えてくるとわんこみたいで可愛い、けど...



「...」



今日みたいに、デートがドタキャンになることが多々ある。

仕事で忙しいのはわかってる。

バスケも頑張ってほしいし、もちろんモデルだって。


...でも、やっぱり。



「寂しいよ...」



自分の部屋のベッドに寝転がり、ボーダーのカバーがしてある枕に顔をうずめた。


涙が出るのを、必死に堪えて。



「...りょー、た」

「ナマエっ!」



勢いよく扉が開いた。


びっくりして顔をあげると、肩で息をする愛しい彼の姿。

今日はモデルの仕事で会えないって...


え?なんでいるの?



「りょ、た...?」

「ナマエーっ! ...ってえ!?なんで泣いてるんスか!?」

「ッ、なんでもない! ...で、涼太、今日モデルの仕事なんじゃ...?」

「早くナマエに会いたかったから、すぐ終わらせてきたっス!」



屈託のない笑顔を向けられる。

大きな尻尾がぶんぶん振られているように見えるのはいつものこと。



「それに、...これ、買いに行きたかったんス」



静かに目を伏せ、ポケットから小さな箱を取り出した。

そんなところでさえ絵になるというのだから、流石モデルと言ったところだろうか。



「...指輪?」

「はいっス!」



黄色いガラス玉がはめ込まれた銀色の指輪。

光の当たり方によってガラス玉が宝石のように輝き、とても綺麗だ。


でも、なんでいきなり...?



「今日、ナマエの誕生日でしょ? 将来は左手の薬指に指輪をはめてあげたいけど、今はまだ無理なんで...。
予約、ってことで」



意地悪く笑った涼太。

そして左手の小指に指輪をはめてくれた。


そういえば、今日は誕生日だった。

大好きな涼太が覚えていてくれてて、なおかつプレゼントもくれた。

しかもプレゼントは将来のための"予約"...



「ッ...、」



どうしよう、嬉しすぎる。



「改めて、ナマエ」

「...はい」

「誕生日、おめでとう!」



向けられた笑顔は、まるで向日葵のようだった。









((...涼太、))

((なんスか?))

((薬指に指輪がはまるの、楽しみにしてる))

((!! ...うん! 俺、頑張るっス!))



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ