恋する動詞
□焦がれる
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ばくばくと心臓が高鳴る。
心臓の音が周りの奴らにも聞こえてるんじゃないか、ってくらいにうるさい。
無性に息苦しくて、喉まで止めてあるボタンをひとつ外した。
「かがみん、すっごい緊張してるね!」
「っ、当たり前だろ...!」
「ナマエちゃん可愛かったわよ〜」
「ナマエは元から可愛いんだよ。...です」
「「きゃあああああ!!!」」
思ったことを言えば桃井とカントクが発狂した。
肩がびくりと跳ねたが2人とも気付いてないらしい。安心した。
「火神くん、おめでとうございます」
「っうお!? ...んだよ、黒子か」
「はい、黒子はボクです」
「...懐かしいな」
「ですよね」
俺、火神大我は今日、幼い頃から好きだった彼女ナマエと結婚する。
ナマエとはアメリカに居た頃に知り合った。
彼奴も俺もバスケが好きだったからすぐに意気投合して一緒にバスケをした。
−−−−今思えば、一目惚れだったんだ。
「火神くん」
「あ?」
「彼女を、...ナマエを幸せにしてあげてください」
「!! ...もちろん、わかってる。」
黒子はナマエが好きだった。
いや、過去形じゃなく現在進行形だろうけど。
黒子はナマエと中学の時に出会い、一目惚れだったらしい。
初めてボクを見つけて笑ってくれた人なんです、と嬉しそうに笑って言った黒子の顔はそうそう忘れられない。
今だって、瞼の奥に焼き付いてる。
「ナマエを泣かせたりしたらボクがすぐに奪いに行きますから」
「ッハ、上等!!」
こつん、と拳をぶつけた。
「野郎共!! ナマエのお出ましだぞ!」
アレックスの声が響き、みんな一斉にアレックスを見た。
アレックスに背中を押されて前に出たナマエは、−−−−とても綺麗で。
いつもはストレートな栗色の髪も緩く巻かれ、頬には軽くチークが乗っている。
真っ白なウエディングドレスとキセキカラーで彩られたブーケはナマエによく似合っていた。
「どう...ですか?」
はにかんで言うナマエに、付き合って2年経つというのにきゅんと胸が高鳴った。
嗚呼、俺は世界一の幸せ者だ。
((長年恋い焦がれた相手と、))
((結婚できるなんて))
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