恋する動詞
□追いかける
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唐突だが、僕には好きな人がいる。
名はミョウジナマエ、唯一僕の思い通りにならない人だ。
「...え?」
「なんだい玲央」
「征ちゃん...好きな子いたの?」
「僕だって高校生だ、恋愛くらいするさ」
「まあ...まあ! 今夜はお祝いね!!」
「...?」
まあいい。
話を再開しようか。
僕が片思いしているナマエと初めて出会ったのは中学生の時だった。
不覚にもハンカチを落としてしまい、それを拾ってくれたのがナマエ。
受け取る時に指先が一瞬触れ合い、その瞬間びびっと身体中に電流が通り抜けたような感覚になった。
−−−−生まれてはじめて、一目惚れをした。
「征ちゃんもこんな青春時代を...!」
「青春という程でもないだろう」
それからは着々と仲良くなった。
偶然にもクラスが同じで、そしてまた偶然にも席も隣、またまた偶然にも委員会も同じだった。
それに彼女は僕よりは劣るが頭が良く、テスト勉強も一緒にしたな。
「偶然ありすぎだろ赤司ー! 運良すぎ!!」
「小太郎、いつの間に来たんだい?」
「レオねぇに連絡貰ったからすっ飛んできた!」
「にしてもその彼女、頭が良いってどれくらいなの?」
「真太郎以上僕未満ってところだね。ナマエはいつも2位だったよ」
「...(どうしよう嫌味にしか聞こえない)」
ナマエは僕と会っている時は楽しそうに笑うんだが、メールの時は何処か素っ気なくてね。
真太郎に聞けばメールでも優しいと言うから嫉妬でどうにかなりそうだったよ。
「本当に彼女が大好きなのねえ」
「んー、でもなんか意外」
「何がだい?」
「赤司は追いかけるんじゃなくて追いかけられる側だと思ってたからさー」
...まあそうだね。
僕をここまで好きにならせるナマエは手に入れないと気が済まない。
今もテツヤや火神大我と笑っていると思うと気が狂いそうだ。
「誠凛なのね、その子」
ああ。
...それに、さ?
((たまには))
((追いかけたっていいだろう?))
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